柔道は期待を上回る9個の金メダルを獲得、いまなお「お祭りムード」に包まれている。

柔道超出预期地斩获9枚金牌,如今仍洋溢的着“喜悦的气氛”。

競技最終日に行われた新種目「混合団体」は決勝でフランスに敗れ、銀メダルに終わった。準々決勝のドイツ戦でも最初の2試合を落とし、その後4連勝したが、薄氷を踏む勝利だった。

在比赛最后一天举办的新项目“混合团体赛”中不敌法国队,最终获得了银牌。在四分之一决赛中对阵德国,前两场输给对方,之后再连胜四场,是一次如履薄冰的胜利。

大会前、柔道界のレジェンドが「金メダルは100%間違いない」と言い、私自身も「今大会の全競技の中で最も金メダルに近い」と予想したこの種目を落とした驚きは半端ではない。何しろ、この種目が採用されて以来、日本は一度も負けていなかったのだ。

在比赛前,柔道界的传奇人物说道“肯定能得金牌”,我自己也认为这个项目是“本次奥运会所有比赛项目中最有希望获得金牌的”,但万万没想到在此项目上马失前蹄。毕竟,自该项目设立以来,日本从来没有输过。

だが、井上康生監督の選手への思いやりややさしさが賛美される風潮の中で、敗北の責任や意味はほとんど問われずにいる。

但如今大家都在关怀赞美井上康生领队的运动员,却几乎无人去关注失败的责任和意义。

私は、この敗北を責める気持ちはないが、あまりにも敗戦を直視しない柔道関係者および周囲のお気楽ぶりにちょっと首を傾げてしまう。

我并不是想批评失败,而是对柔道相关人员不直面比赛失败以及周围欢乐的氛围感到疑惑。

負けた相手がフランスというのは、とても象徴的だとも感じる。

输给法国非常具有代表性。

日本では、「柔道ニッポン」という言葉が当然のように使われ、「柔道の本家は日本」と誰もが理解している。ところが、世界の現状を俯瞰すると、「日本は世界一の柔道国」と言えない現実がすぐ見て取れる。

在日本,使用“柔道日本”这个词很理所当然,大家都能理解“柔道的正统在日本”。但若是全面了解世界现状,就会发现如今不能说“日本是世界第一柔道大国”。

単純に競技人口を比べると、世界で一番多いのはブラジルで約200万人。2番目がフランス約56万人。日本はその3分1にも満たない約16万人と言われる(2016年ミズノ調べ)。

如果单纯比较参赛人口,世界上人数最多的是巴西,约200万人。第二是法国,约56万人。而日本尚不足其三分之一,约为16万人(2016年美津浓调查)。

つまり、もはや日本は競技の普及率や人気度でいえば世界一の柔道国ではない。実際、少年少女の大半がこぞって柔道に取り組むというムードが身の回りにあるわけでもない。柔道を始めるのはごく一部、限られた少年少女であって、むしろ少数派だろう。

也就是说,从比赛普及率和知名度来看,日本已经不是世界第一的柔道大国。事实上,周围并没有很多年轻人热衷柔道,仅有少部分有限的年轻人开始练习柔道,可以说是少数派。

しかも一方、「柔道事故」という重大な問題も本質的な改善がされないまま、現在に至っている。

而且“柔道事故” 等严重问题尚未得到根本改善,至今还依旧存在。

日本における柔道事故の問題は、武道が授業で必修化される2012年の前年あたりからようやくメディアでも問題視され始めた。名古屋大学大学院の内田良准教授の著書『柔道事故』でも明らかなとおり、著者が調べた2011年度までの29年間で「118名の子どもが命を落としている(ここには民間の道場の死亡数は含まれていない)。柔道の部活動における死亡率は、他の部活動と比べて突出して高い。それにもかかわらず個々の事故事例はただ『仕方のないこと』『不慮の事故』として闇の中に葬り去られ、事故防止策が検討されることもなかった」という。

日本柔道事故始于2012年的上一年,武士道成为必修课,媒体终于开始重视这个问题。名古屋大学大学院内田良准教授的著作《柔道事故》中清晰揭露了此事,据作者调查至2011年度共29年来有“118名孩子死亡(此数字并不包含私人道场死亡人数)。与其他社团活动相比,柔道社团活动的死亡率特别高。尽管如此各种事故案例依旧以“无可奈何”“意外事故”等名义消失在黑暗中,并没有研究对策防止事故产生。”

その後も残念ながら死亡事故は起きている。

之后也很遗憾地不断出现致命事故。

昨年10月にも、中学校の柔道部顧問の男性教諭が体罰で逮捕される事件があった。神戸新聞は次のように報じている。

去年10月,初中柔道部顾问男性教师体罚学生被逮捕,神户新闻报道如下。

「市教委は会見で、教諭が入部間もない生徒1人に10回以上投げ技や寝技を掛け、途中で失神すると、ビンタをして起こし、さらに投げ技を繰り返したと説明。仮入部中のもう1人にも寝技を掛け続けたという。副顧問は恐怖を覚えて止められなかったとし、目撃した生徒らが『恐怖を感じた』と話したという」

“在发布会上市教委解释说,老师对一名刚入部的学生使用了10多次投掷和接地技巧,对方中途昏迷,一巴掌拍醒,之后再反复利用对方示范投掷技巧,还利用新入部的另一名学生不断示范接地技巧。副顾问感到害怕但没能制止对方,目击的学生们都说‘太可怕了’”。

柔道にかこつけてこのような行為を指導と主張する指導者が存在する。それはこの教師個人の問題なのか、柔道界が体質として持っているのか。検証は必要だろう。

有的老师以柔道为借口,认为这种行为是指导。这到底是老师个人的问题还是柔道界的共识,是需要进行验证的。

なぜなら、これについては驚くべき事実がある。日本より競技人口が多く、日常的に柔道が盛んに行われているブラジルやフランスでは長い間、ほとんど死亡事故のような重大事故が起きていないという現実だ。

之所以这样说是因为有个令人震惊的事实,那就是在比日本参赛人口更多以及盛行柔道的巴西和法国,长期以来几乎没有发生类似致命事故的严重事件。

日本の柔道と、海外の柔道、あるいはその指導法や道場の雰囲気には決定的な違いがありそうだ。日本では「よし」とされてきた習慣が本当は死亡事故につながる重大な温床になっている可能性がある。ところが、その悪習が放置され、事故を生み出している。海外ではそのような悪しき体質が継承されていないのだとしたら、日本は謙虚に学ぶべきだろう。

日本柔道与国外柔道或者说指导方式和道场氛围似乎有着关键的不同。在日本被认为“好”的习惯可能是引发致命事故的温床,但我们忽视了恶习,导致事故发生。而国外并没有继承这种不良风气,日本需要谦虚地向其学习。

少し短絡的な言い方になるが、「金メダルを9個獲ったから万々歳」ではなく、「混合団体でフランスの後塵を拝した、その深い意味」を謙虚に受け止めることがいまの日本柔道界には必要ではないか、そんな思いがよぎる。

简单来说,并不是“斩获9枚金牌就万事大吉”,如今的日本柔道界必须谦虚接受,“不要再像混合团体输给法国一样步入后尘,了解其深刻意义”。

選手たちは、「オリンピックで金メダルを獲ることが使命」と動機を与えられ、その使命を懸命に果たした。心からの拍手を送りたい。だが、金メダルを獲りさえすれば、柔道の課題がすべて解決され、未来が拓けるとは限らない。選手自身も、柔道事故の問題や、柔道を始める子どもたちが年々減っている現実にどんな改善策を提供できるか、問題意識を携えて稽古に取り組むことは大切ではないか。もしそういう意識を高く持っていたならば、敗戦を悔しがるというのでなく、フランスに負けた重大さをもっと深く受け止める空気が漂ったのではないか、そんな風に感じるのだ。この機会に日本の柔道界がさらなる発展の道を模索する未来を願ってやまない。

运动员们的目标与“使命是在奥运会上获得金牌”,并为这一使命拼尽全力,对此衷心为他们鼓掌。但金牌并不能解决柔道的所有问题,也不能开辟未来。重要的是选手自身也应该意识到柔道事故的问题,以及学习柔道的孩子逐年递减的现实,并为这种现实提供改善措施,带着问题意识进行训练。如果这种意识得到提高,不仅不会悔恨失败,而会更深刻地感受到输给法国的重要意义。希望日本柔道界能借此机会探索未来更进一步的发展道路。

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