目を閉じて、ありったけのピンク色を思い出してみる。濃いのと薄いのと、二つしか浮かばない。網膜の記憶に残るそれは、桃と桜だろうか。だが、一群のカーネーションを前に思った。この色には豊かな幅と奥行きがある。

闭上眼睛,试着想像一下所有的粉红色,但脑海中只浮现出深色和浅色两种。残留在视网膜中的记忆是桃花和樱花吧。可是在那之前先想到了一大簇的康乃馨。这一颜色有着更加广泛而深刻的内涵。

夏の日ざしの東京・上野公園に出かけ、国立科学博物館の特別展「花」をのぞいた。植物の生殖器官である花は、色と香りで虫や鳥を誘い、子孫を残すための花粉を運ばせる。そんな不思議で美しい世界を、様々な切り口で楽しめた(6月17日まで)。

我来到夏日阳光普照下的东京上野公园,参观国立科学博物館特别为母亲节推出的花展。“花”作为植物的繁殖器官,通过色彩和香味吸引昆虫及鸟类传播花粉,繁衍生息。展览使参观者从多角度,领略到了大千世界的神秘绮丽。

自然界の花の色で、最も多いのは黄色、次が白だという。赤はバラの印象が強いが、実はそれほど多くない。この時期、会場の主役はカーネーションである。「ピンク」の語源であるナデシコの仲間だ。

在自然界花色中,黄色是最普遍的,其次为白色。给人留下深刻印象的红色实际上并不太多。康乃馨作为本次展览的主角,与粉色的鼻祖红瞿麦同属一科。

定番の赤と白、その間をいくつものピンクが埋めている。黄、薄緑、オレンジに、遺伝子組み換えによる青系もある。これほど多色の花なのに、国内の代表産地が愛知県一色(いっしき)町というのが面白い。

康乃馨多为红色和白色,粉色掩映其间。此外还点缀着黄色、淡绿色、橙色、及遗传嫁接出的蓝色。有趣的是色彩如此丰富的康乃馨,其在日本最赋盛名的产地确在爱知县的“一色街”。

日本に定着した母の日は、米国伝来の戦後文化の一つだ。100年前の米東部、5月に逝った母をしのぶ女性教師が、母親への感謝を生前に伝える運動を呼びかけたのが始まり、とされる。その思いが全米に広がった。

日本的母亲节传统来源于美国的战后文化传播。据说其起源于100年前的美国东部。一位女教师的母亲在五月去逝,她为了表达对母亲的追思,呼吁大家应该在老人健在的时候多尽孝道。从此风靡全美。

〈母の日も母の差配や厨(くりや)ごと〉森光ゆたか(朝日俳壇)。家事を仕切る人であれば、祝祭は日常に埋没しがちだ。だからこそ、きょうは思いをカタチにしてみる。手渡すか、耳に贈るか、久しぶりに字にするか。「千の風」に手向ける方も多かろう。ありがとうは、何色でもいい。

“即使是母亲节,母亲还是在忙于家计,忙着做饭”(森光丰 ·朝日俳坛)。如果母亲负责家务,节日就容易淹没于日常生活中。正因为如此,我们才应该把今天对母亲感谢之意的想法以某种形式表达出来。或者亲手交给她,或者说一句祝福的话,或者写封久违的信。也许有很多人要去祭奠化作“千之风”的母亲吧。表达谢意,任何颜色的花都可以。

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