やるべき仕事が山ほどなければ、さぼる楽しみが減ってしまう――。英国の作家が言ったという迷文句に、苦笑したことがある。

如果没有堆积如山的工作,偷懒的乐趣也就减少了。曾对英国作家所说的这一“妙语”哭笑不得。


社会保険庁の人たちは、楽しみを味わったのだろうか。宙に浮いた5千万件の年金記録のほかに、さらに1430万件の記録漏れが明るみに出た。作業が膨大になるからと、コンピューターに入力もしていなかった。入力ミスと違い、知りつつ置き去りにした印象が強い。

社会保险厅的人们体验过这种乐趣吧。除悬而未决的五千万件年金记录外,1430万件记录被遗漏问题又浮出水面。他们认为会增加工作量,就没有往计算机内输入。同输入错误不同,这是明明知道却弃之不顾,对此印象深刻。

コンピューターを導入するときは、「1日のキータッチは平均5000以内」といった覚書も取り交わしていた。いまなら慣れた人が1、2時間でこなす仕事量である。「ブラ勤」「ポカ休」「親方日の丸」。ぬるま湯職場を象徴した古い言葉が、われ知らず口をつく。

引进计算机时也交换了“一日击键次数平均不超过5000”的备忘录。这是现在熟练人员1、2个小时就可完成的工作量。“耗工”、“泡病号”、“铺张浪费”。这些形容稳定工作岗位的旧词一下子冲口而出。

トップの長官には、高級官僚が就いてきた。その入れ替わり立ち替わりぶりは、天下りの“拝命待ち”さながらだ。天下り先を転々とし、巨額の退職金をもらって、涼しい顔の人もいる。組織あげての体たらくに、国民の憤りはいよいよ強い。

最高领导一直由高级官吏担任。这一走马灯似的变化,宛如等待上级任命一般。也有人若无其事地不断变换职位,得到丰厚的退休金。国民对于整个官吏组织的破败不堪越发愤怒。

〈年金の代わりにストレス支給され〉と、きのうの本紙川柳欄にあった。自民党は参院選を前に、記録の照合を1年で終えると公約した。とはいえ作業はそれこそ膨大だ。選挙しのぎのカラ手形ではないかと、冷ややかに見る向きもある。

昨日本刊的川柳句专栏发表了这样一句:“不给年金,给压力”。自民党在参议院选举之际许诺说:“年金记录的核对一年内结束”。可是,工作量反而增加了。也有人冷眼旁观,认为“这不过是应付选举而开的空头支票”。

だが「綸言(りんげん)汗の如(ごと)し」、と言う。王が口にした言葉は、汗が体に戻らないように取り消せない、という意味だ。政府は責任を持ち、社保庁には大汗をかいてもらうしかない。光陰は矢の如し。やるべき仕事は山ほどある。

可是,俗话说:“帝王之言,驷马难追”。意思是说,帝王言出必行,如同汗不能返回身体一样。只能请政府负起责任,让社保厅出大汗了。光阴似箭。要做的事情堆积如山。

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