平仮名のことを「女手」とも呼ぶ。そのせいでもないだろうが、平仮名でつづる言葉は角がとれて感じられる。先月の朝日歌壇に、こんな作品が載った。

平假名也称“女手”( 女子笔迹)。也许是因为这一点,平假名写的话令人感觉无棱角。上个月的朝日歌坛中刊载了这样的作品。

〈ひらがなで なやみぜーんぶ かきだして みればたいした ことはなかった〉。作者の有田里絵さん(30)は去年の朝日歌壇賞を受けた。いま子育て中だ。日々、色々な気疲れがある。それを書き出すことで気持ちを整理するという。少々深刻なことは平仮名で書いてみる。心の角がとれて、軽くなってくる。

“用平假名将烦恼全部写出来,就没事了”。作者有田里绘(30岁)是去年的朝日歌坛奖获得者。现在正在养育孩子。每一天都有各种令她心神疲惫的事。据说她将这些写出来,算是整理一下思绪。稍微印象深刻的事情就用平假名来书写。于是心情平静,变得轻松。

心の荷を下ろせずに自殺した人が、警察庁のまとめで昨年、9年続けて3万人を超えた。なかでも学生・生徒は、統計を始めた78年以降で最も多い。遺書の多くは学校での問題に悩み、格闘した心の様をとどめていた。

据警察厅统计,放不下内心包袱而自杀的人,到去年为止连续第9年超过了3万人。自1978年开始统计以来,中小学学生最多的一次。大多数遗书留下了个人为在学校发生的问题而烦恼、内心剧烈斗争的情形。

東京のある私大で新入生に聞いたら、半数が「自分は傷つきやすい」と答えたという。柔らかい心はすぐ傷つく。若者の特権だろうが、克服する力が弱いらしい。小さなつまずきが絶望に結びつきかねない。

据说在东京一所私立大学向新生进行,一半学生回答说“自己很容易受伤”。温柔的心很容易受伤害。这也许是年轻人的特权吧,克服能力相当弱。很小的挫折就会让他们陷入绝望。

有田さんは中学生時代、誰彼なく順ぐりに標的にするいじめに遭った。死を思った日もあるが、悩みをノートに書くと、不思議に気分は落ち着いた。

有田中学时代曾遭遇过一些人轮番欺负过。有时曾想过去死,可是将烦恼写到日记上,心情就不可思议地平静下来。

初子を産んだ一昨年からは、小さな命をいとおしむ歌が増えた。〈ふええんと一声泣いてまた眠る夢の中まで行けなくてごめん〉。赤ちゃんへのメッセージを込めた歌もある。〈人生を始めたいから生まれ出るI was bornとは言いながら〉。悩まぬ人生はないけれど、重いものもなるべく軽く。平仮名でつづる人生もいい。

从前年她生下第一个孩子起,越来越多的和歌就表达了对幼小生命的珍惜之情。“一声啼哭后又睡着,不能进入你的梦乡,真对不起”。也有写给婴儿的深情的和歌。“为了开始人生而出生,虽然不是你想出生”。没有无烦恼的人生,沉重的事情也尽量放轻松。用假名书写人生就可以了。

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