日语文学作品赏析《文学好きの家庭から》
作者:芥川龍之介
来源:青空文库
2010-01-06 00:00
私の家は代々お奥坊主 だったのですが、父も母もはなはだ特徴のない平凡な人間です。父には一中節 、囲碁、盆栽、俳句などの道楽がありますが、いずれもものになっていそうもありません。母は津藤 の姪 で、昔の話をたくさん知っています。そのほかに伯母 が一人いて、それが特に私のめんどうをみてくれました。今でもみてくれています。家 じゅうで顔がいちばん私に似ているのもこの伯母なら、心もちの上で共通点のいちばん多いのもこの伯母です。伯母がいなかったら、今日 のような私ができたかどうかわかりません。
文学をやることは、誰 も全然反対しませんでした。父母をはじめ伯母もかなり文学好きだからです。その代わり実業家になるとか、工学士になるとか言ったらかえって反対されたかもしれません。
芝居や小説はずいぶん小さい時から見ました。先 の団十郎 、菊五郎 、秀調 なぞも覚えています。私がはじめて芝居を見たのは、団十郎が斎藤内蔵之助 をやった時だそうですが、これはよく覚えていません。なんでもこの時は内蔵之助が馬をひいて花道 へかかると、桟敷 の後ろで母におぶさっていた私が、うれしがって、大きな声で「ああうまえん」と言ったそうです。二つか三つくらいの時でしょう。小説らしい小説は、泉鏡花 氏の「化銀杏 」が始めだったかと思います。もっともその前に「倭文庫 」や「妙々車 」のようなものは卒業していました。これはもう高等小学校へはいってからです。
文学をやることは、
芝居や小説はずいぶん小さい時から見ました。
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