2017年2月にデビュー15周年を迎え、精力的にライブを行ってきた熊木杏里。その活動の集大成ともいえるライブが2018年の3月24日、東京国際フォーラムで行われることになった。透明感のある歌声と、独特の世界観を持つ楽曲を生み出し、これまでに40曲以上のタイアップソングを手掛けている熊木。これまでの15年の活動を振り返り、そして16年目に向けての今の心境を語ってもらった。

于2017年2月迎来出道15周年的熊木杏里将全部精力投入于演唱会。这场可以被称之为集大成的演唱会将于2018年3月24日在东京国际展览中心举行。她创作的歌曲拥有透明感和独特的世界观,至今为止已亲自操刀超过40首以上的合作曲目。熊木就这15年以来的工作进行了回顾并吐露了此刻面对歌唱生涯第16年的心境。

“挑戦の15周年イヤー”で音楽の幅が広がった

“挑战的15周年”扩大了音乐的范围

――2017年は、デビュー15周年となる特別な一年間でした。15周年としてどのようなことに挑戦されたのでしょうか。

――2017年是你出道15周年这样一个拥有特殊意义的年份。那么在这一年里你接受了哪些挑战呢。

熊木杏里 昨年は本当に初めてのことに挑戦していて。スタンディングのライブもやってみたし、お客さんとの交流もよりラフな感じになっていて、ハイタッチ会にも挑戦したんです。ほかにも新しいことっていうと、ゲームシナリオライターで作詞作曲家の麻枝准さんとのコラボアルバム(『Long Long Love Song』)も出しました。いつもは自分で作詞作曲をするんですけど、今回は私以外の方が作詞作曲した楽曲を歌うことに徹したアルバムも作ったり、本当に新しいこと尽くめでしたね。

熊木杏里   去年确实挑战了一些新鲜事物。试着举办了standing live,由此与听众的交流也感觉更加随意了,还挑战了击掌会。另外一个新的尝试是与为游戏创作歌曲的麻枝准先生共同打造了专辑(《Long Long Love Song》)。一直以来我都是自己做作词作曲,而这张专辑里我演唱的歌曲则都由他人操刀,真的都是一些前所未有的挑战。

――シンガー・ソングライターとして長年活動してきたなかで、“人が作った楽曲”を歌ったことも新鮮な発見などもあったのでは。

――作为创作歌手的你在唱“别人创作的歌曲”时也会有一些新的发现吧。

熊木杏里 声のいいところとか悪いところとか、自分の曲を歌っていたのではわからなかったこととかが明らかになって、こういうのが自分の声には合うし、逆にこういうのは合わないんだなということがわかりました。それに、普段は歌わないテンポの速い曲にも挑戦したりして、15年目にして、改めて歌に向かい合うことができたと思います。

熊木杏里   声音的优缺点、唱自己的歌时一些弄不明白的事情都变得清晰了,明白了哪些适合自己的声音,哪些不合适。而且,还挑战了平时都不会唱的快节奏歌曲,这些都让我在第15年这个阶段能够重新认识歌曲。

――歌詞にしても、自分の思いを綴ったものを歌うこととは、また違ったのでは。

――歌词也和唱自己想法的歌不同吧。

熊木杏里 自分の言葉ではないものを歌うのが新鮮で、そこに自分の表現をどうのせたらいいのかって考えるのも面白かったです。それに、歌詞の中にトイレットペーパーって言葉が出てきて、普段自分では使うことのない言葉や自由な歌詞にふれられました。

熊木杏里  唱不是自己作词的歌曲是非常新鲜的体验,思考如何将自己的表现呈现在歌曲中也很有趣。而且,歌词中出现了卫生纸这样的词,这是平时自己不会使用的很有自由风格的歌词。

“歌の主役”は自分から周りの人へ広がっていった

“歌曲的主角”不光是自己也有周围的人

――15年にわたる活動の振り返についてお聞きしていきます。改めまして、歌を始めたときのきっかけを教えてください。

――下面想请你回顾一下这15年的工作。你是因为什么契机开始唱歌的呢。

熊木杏里 家族と一緒に東京に出てきたんですけど、高校時代に友達とうまくつきあえなくて悩んでいました。父が、その気持ちを書いてみればと言ってくれて、歌詞にして歌い始めたのが最初です。そのころは、井上陽水さんの音楽が励ましてくれましたね。

熊木杏里   虽然和家人一起搬去东京,但在高中时却因为不能和朋友处理好关系而烦恼。父亲让我试着把这些心情写下来,然后就当做歌词唱了起来。那时,井上阳水先生的音乐给了我很大的鼓励。

――熊木さんは井上陽水さんをはじめとして、高校時代から周りの友達よりも大人の世代のフォークが好きだったんですよね。それはどういうきっかけだったのですか?

――从喜欢井上阳水先生这一点上来看,熊木桑从高中时代起就比周围的同龄人更喜欢成熟的事物吧。这又是因为什么呢?

熊木杏里 私が高校生のころは、洋楽というかブラックミュージックが流行っていて、それも聞いていたけれど、家に帰ると、自分というものを確保するために夜な夜な陽水さんを聞いていました。メロディも好きなんですけど、言葉がすっと入ってくるようなメロディが好きで。井上陽水さんの言葉に惹かれたのだと思います。

熊木杏里   虽然高中时我也会听当时很流行的黑人音乐,但只要一回家我每晚都听阳水先生的歌,以此来保持自我风格。我也喜欢听旋律,但更喜欢那种歌词迅速插入的旋律。我想是因为井上阳水先生的歌词太吸引人了。

――そこは熊木さんの音楽にも共通しているような気がしますね。高校時代は、陽水さんの曲を聞きつつ、どういう気持ちで曲を作っていたんですか?

――熊木桑的音乐在这一点上也有共通之处。高中时代,你听着阳水先生的歌曲时是怀着怎样的心情进行创作的呢?

熊木杏里 自分で書くときは、自分がどういう人なのかを知るために歌を書いていて、“私ってこういう人なんだよ”ってことを歌を通して自分が知りたかったのかなって。

熊木杏里   抱着想要了解自己的目的进行创作,想通过歌曲知道“我是这样的人”。

――“私ってこういう人だよ”という表現は変わっていきましたか?

――“我是这样的人”这种表现方式改变了吗?

熊木杏里 自分の思っていることは他の誰かも思っていることかもしれないから、何かに気づいたときに、それを逃さないようにしようと思うようになりました。それと、ファンの方々もきっと自分と似ている部分があると思うので、リスナーの方たちのために何かできることはないのかなと、曲ごとに顔を思い浮かべながら書いたりとか。なかには、曲を聞いて、ピンポイントでこれは私のことだって思う人もいるでしょうね(笑)

熊木杏里  自己想的事情可能别人也在想,所以当我注意到什么的时候,就不想错过它。还有歌迷们也肯定会有和自己有相似的部分,因此,我想能不能为他们做些什么,每首歌曲都是一边回想着他们的脸庞一边写的。或许有的人会在听到歌曲时在某一点产生共鸣认为这是发生在自己身上的事情吧(笑)

――熊木さんの曲はよくCMなどでも使われていて、それがすごく耳に残るんですが、タイアップでテーマありきで作ることに関しても何か発見はありますか?

――熊木桑的歌曲经常被广告商所用,非常耳熟能详,那么对于这种与品牌合作给出主题进行创作的方式有什么心得吗?

熊木杏里 以前、広末涼子さんが出演する京王線のCMの曲を書いたんですが、自分もひとり旅に行っているようなイメージで書かせていただきました。テーマや絵コンテをいただいて、そこからイメージするっていう作り方も楽しいですね。

熊木杏里   以前为广末凉子出演的京王线广告作曲的时候,广告商让我想象自己也是一个人在旅行。这种把主题和画面告诉我,从中获得灵感作曲的方式也很有趣。

――歌のヒントがいろんなところにあるんですね。しかしながら、15年間歌を書き続けるには相当なエネルギーがいるとは思うんですが?

――创作歌曲的灵感真是无处不在呢。但是,连续写15年的歌是需要花费相当多精力的吧?

熊木杏里 歌の源、エネルギーっていつかはなくなっていくのかなと思っていたら、そんなことなかったんですよ。今まで音楽をやってきたなかで“楽しい”っていつも思えてたわけじゃなかったんですけど、今は“楽しい”ってはっきりと実感できています。気持ちに余裕ができたのか、自分に自信が出てきたのか分からないんですけど、自分で楽器を弾いているときに、楽しいって思うんですよね。

熊木杏里   如果想着歌的灵感、精力会在什么时候消失的话,就会真的没有了。虽然在做音乐的过程中并不是一直都感到“快乐”,但至少现在我能清晰的感受到“快乐”。我不知道自己能否保持从容的心情、有没有自信,但弹奏乐器时的我觉得非常开心。

――楽しさはそのまま原動力になるわけですね。それと、2017年リリースのアルバムではセルフプロデュースもされていました。

――原来快乐是你保持状态的原动力啊。另外,2017年发行的专辑你也亲自参与了制作吧。

熊木杏里 これも15年やってきて初めてだったんですけど、責任を持って『この曲がこういう雰囲気なので、こういうアレンジにしたいから、この人に頼もう』とか、そういう自分が司令塔になって、アルバムにちゃんと関わっているなあと実感できて。

熊木杏里   这也是15年来的第一次,“因为这首歌是这样的氛围,因为希望这样编曲,想拜托这个人”带着这样责任的自己成为了指挥官,与专辑有关的一切内容都亲身感受到了。

――アルバムの中に「群青の日々」って曲がありますよね。それは、「青春」の青の変化したものかなと思ったんですけど。

――专辑里有一首叫《群青的日子》的歌曲。是否是讲述“青春”的变化呢。

熊木杏里 今の私には子供も家族もいて、青春ではなく次の段階に移行している感覚があって、恋に焦がれるような曲はもう書けないかもしれません。でも、もっとさめざめしく“萌えている”ということを群青の日々という歌に描いたんです。

熊木杏里   现在的我有了家庭和孩子,不再青春的我有一种进入了另一个阶段的感觉,可能已经写不出那种对渴望恋爱的歌曲了。但是,群青的日子这首歌里描写了让人更加动容的“萌芽状态”。

――ほかにも、中国でのライブの経験を描いた曲もありました。

――另外,专辑里还有描写在中国开演唱会经历的歌曲。

熊木杏里 中国でのライブは2016年に初めてあって、広州、北京、上海という三ヵ所を廻って、その時のことを書いたんですね。2017年の12月は8か所を13日で移動しながら回って、前回とは違ってまたいろんな街に行きました。

熊木杏里  2016年第一次在中国举办了演唱会,地点分别在广州、北京、上海,写了那个时候发生的事情。2017年12月在8个地方进行了13天的巡回演唱会,与上次不同还去了很多街道。

――また違うインスピレーションが得られたんでしょうね。そして3月には、東京国際フォーラムでの集大成ともいえるライブが控えています。

――看来又可以获得不同的灵感了呢。3月东京国际展览中心即将迎来一场你的可以说是集大成的演唱会。

熊木杏里 15年やってきた今のすべてをそこにぶつけてやろうっていう(笑)、そんな気持ちで臨みます。そして、そのライブを集大成にするだけでなく、16年目の良いスタートにしたいと思っています。

熊木杏里  我是抱着把这15年以来东西全都呈现在演唱会上心情去准备的(笑)。而且,我不仅希望这场演唱会能够集大成,还希望它成为我第16年歌唱事业的良好开端。

本翻译由沪江日语原创,未经授权禁止转载。

相关阅读推荐:小室哲哉:人工智能并不会改变音乐的本质