23日の降雪で、東京都心にも約4年ぶりに20cm以上の雪が積もり、交通機関は大きく混乱しました。しかし雪が降ることはすでに天気予報で数日前から報じられていたはずです。もっと事前に対策をとることはできなかったのでしょうか? メルマガの著者でアメリカ在住の作家・冷泉さんが、今回の大雪問題の背後にある「日本人の悪しき習性」について言及しています。

由于23日的降雪,东京市中心时隔约四年积雪量再次达到20cm以上,交通严重瘫痪。但是降雪预报早在几天前就应该发布了,还是没能提前采取对策么?邮件杂志的作者,即美国在住作家・冷泉先生,提及了这次大雪问题背后的“日本人的恶习”。

目で見ないと納得できないという低生産性 カルチャー

一定要眼见为实的低生产率文化

1月22日(月)首都圏は、午後から大雪に見舞われて、交通機関は大きく混乱しました。では、東京の多くのオフィスでは「出社できたんだから定時まで、あるいは残業時間帯まで働け」というような過酷な業務命令が出ていたのかというと、そうではありませんでした。

1月22日(星期一)首都圈从下午开始大雪纷飞,交通严重瘫痪。那么,这是因为东京的、很多公司发出“既然能来上班,就工作到下班时间或加班时间段”这样苛刻的业务命令么?并没有。

現在は「働き方」が大きな社会問題になっていることもあり、それぞれの職場では「早め早めに」終業の指示がされて、多くの人々が帰途についたのです。では、「帰宅難民」の発生は避けられたのかというと、そうではありませんでした。

现在,“工作方式”也成为了一个巨大的社会问题,各个职场中发出了“尽早”结束工作的指示,很多人踏上了归途。那么这能避免发生“人们回家难”的问题么?并不能。

渋谷駅や、品川駅、蒲田駅、武蔵小杉駅などの主要な乗り換え駅では「駅構内への入場制限」が行われ、「考えられないような大行列」が発生してしまったのです。雪の降る寒い中で、長時間待つのも大変ですが、22日の状況としては雪の勢いはどんどん強くなって行った中で、電車の運行間隔は少しずつ長くなり、一時的な運転見合わせなども起きる中、大変な思いをした方もあるのではないかと思います。

在涩谷站、品川站、蒲田站、武藏小杉站等主要换乘车站“施行了进站限制”,产生了“无法想象的长龙”场面。在伴随大雪的寒冷中,长时间的等待也够折磨人的了,但22日那天雪越下越大,电车的运行间隔一点点增长,其中还发生了暂时停运等状况,在这之中应该也有人为之受苦吧。

雪に弱い鉄道を批判する声もありますが、首都圏の場合、運転に支障の出るような降雪というのは、数年に一度であり、そのために「ポイントが凍結しないための電熱装置」であるとか「積雪 にお湯をかける消雪機構」などを装備するのは現実的ではありません。仮に何処かに財源があって装備ができたとしても、メンテのコストだけで鉄道会社には大きな負担になってしまいます。

也有人批评铁道应对大雪的能力太差,但在首都圈,能影响到车辆运行的降雪数年才一次,为此安装“防止(铁轨的)转辙器结冰的电热装置”或是“热水融雪的装置”是不现实的。即使是从某处得到财力装好了这样的设备,但是光维修成本就给铁道公司带来了巨大的负担。

では、今回のようなトラブルが起きてしまった原因は何なのでしょう。

那么,引发本次问题的原因究竟是什么呢?

一つの見方としては、危機管理上のスピード感が足りないという問題があります。今回の首都圏の雪は、当初は「まず雨が降り、それが午後にはやがて雪になる」という予報になっていました。ですが、南岸低気圧が思ったより強かったために北から寒気が吹き込み気温が下がってしまい、予報より早い時間に雪に変わったわけです。

一种观点是,其问题在于对危机管理的紧张感不够。这次首都圈降雪的最初预报是“先降雨,下午过后多久会降雪”。但是由于南岸低气压比想象中更加强劲,寒气从北边吹来,气温下降,导致降雪时间比预报的要早。

そうした場合に、気象庁にしても民間の気象予報会社にしても、刻々と変化する状況を反映した予報を提供していたはずです。ネットのポータルサイトに出ている「雨雲レーダー」などを見ていれば、異変を感知することは不可能ではありません。

在这种情况下,无论是气象厅还是民间的气象公司,都应该提供实时预报。如果看到网络上门户网站所发出的“阴雨雷达”等信息,肯定会知道天气变化情况。

そうした情報を先手先手で使って、ダメージを最小限にするようなマネジメントができてないわけです。これは、大きな問題だと思います。ですが、もっと単純な原因があるという見方もできます。

然而并没有抢先利用得到的信息,将损失控制到最小,这才是最大的原因。但是有人认为还有更加简单的原因。

それは「目で見ないと納得できない」とか「実際に起きて実感しないと動けない」という問題です。

那就是“一定要眼见为实”或是“如果没有切实地感受到实际有发生,就不会行动”的问题。

今回の大雪の場合ですと、それこそ「雪が積もり始めないと退社の決断ができない」ということです。「鉄道が運休になった路線の沿線の人は帰宅して良い」などという信じられないような命令が出た職場もあったようです。運休になったらもう帰れないわけですが、要するに「実際に起きてみないと」ダメというわけです。

在这次的大雪中,指的就是“如果没有开始积雪,就不会有下班的决断”。有的公司会提出令人难以置信的要求“所乘电车如果停运,其沿线的人可以回家”。虽然一旦停运就没法回家了,但重点是“没有实际发生的”就不行。

これは深刻な問題で、情報入手のスピード、判断のスピードという以前の問題です。では、どうして「雪の降らないうち」に判断できないのかというと、そこには「先走って判断して外れた場合は非難されるから」というカルチャーの問題もありますが、もっと深層心理の問題として、「見える化しないと動けない」という一種の習性が日本の組織にはあるように思います。

这是一个严重的问题,是有关情报入手的速度、判断的速度这种老问题。那么,要说为什么不能在“还未下雪时”进行判断,那是因为会有“如果在下判断前先走了,结果判断失误,会被受到责备的”文化问题,从更加深层次的心理问题来看,还因为“如果不看到问题就不会行动”这样的一种习惯存在于日本的组织中。

この「目に見えないとダメ」という習性は、この種の気象条件の問題だけでなく、様々なケースで言えるように思います。例えば、今回のような悪天候の場合には、それこそテレワークが機動的に機能するのであれば、わざわざ無理をして都心まで出勤しなくてもいいわけです。

可以说这种“眼见为实”的习惯,不仅体现在气象问题上,还体现各种各样的情况之中。例如,像这回天气恶劣的情况,如果可以在家办公的话,就不用特意跑到市中心上班了。

ですが、このテレワークがなかなか上手くいかないというのにも、何かにつけて「顔を合わせてコミュニケーションしないと安心できない」とか「最終的に紙に落とさないとタスクが完結しない」などといった、やはり「目で見ないと納得できない」という習性があるように思うのです。

但是,这种在家办公的形式无法顺利进行下去的原因是 “如果不面对面交流,就无法安心”或是“如果最终没有呈现在纸上,任务就不算完成”之类的,果然还是有“眼见为实”的习惯包含在其中。

この問題は、恐らく日本経済の生産性を著しく奪っているわけで、考えてみれば、「実際に雪が降り始めないと判断できない」ということや、「テレワークでは信頼感がないので顔を合わせて仕事がしたい」ということからは膨大な時間と手間 を消費することになります。

这个问题恐怕是降低日本经济生产率的原因。试想“如果没有真的下雪,就无法判断”、 “因为在家办公没有信赖感所以想要面对面工作”这样的事会花掉大量的时间和劳力。

今回の大雪の問題を、この生産性の問題から考えてみる、そして「目に見えないとダメ」というカルチャーが、いかに生産性の敵であるかを考えてみるというのは、今後の日本経済をどう変革していくかという議論に役立つのではないでしょうか。

从生产率的问题来考虑这回的大雪问题,进而考虑到“眼见为实”的文化与生产率的对立关系,对今后日本经济该如何变革来说难道不是有益的么?

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