DVDレンタル大手ツタヤの新業態「蔦屋書店」が全国で店舗を増やしている。本が売れない時代に、なぜ人が集まるのか。神戸大学大学院の栗木契教授は「リアル店舗の強みである『カフェ』を活かした店づくりに成功している」と分析する。デジタル時代におけるリアル店舗の生存戦略とは――。

大型DVD租借公司TSUTAYA的新商业模式“茑屋书店”在日本全国扩展店铺规模。在书卖不出去的时代,为什么“茑屋书店”会有人气?神户大学研究生院的栗木契教授分析是“实体店铺的优势在于以‘咖啡馆’作为成功关键“。在数字化时代,实体店铺的生存战略是什么呢?

書店とカフェが一体になった「ブックカフェ」

书店和咖啡馆一体化的“书吧”

本が売れない時代に出店を拡大する。そんな書店がある。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手がける新業態「蔦屋書店」である。

有这样一家书店。在实体书落魄的时代不断扩张。那就是Culture Convenience Club(CCC)公司开发的新商业模式“茑屋书店”。

デジタル化が進むなかで、街中の書店やCDショップが次々と姿を消している。その一方で、本やCDを扱っていても、多くの消費者の支持を集める店舗が登場している。その代表格が蔦屋書店だ。同社はこの業態について、<「書店」と名乗りながらも、本を売るためだけの施設ではありません。本や音楽、映画が揃っていますが、そこで過ごす「時間」を楽しんでいただけるような空間を目指しています>と説明している。

在数字化进程中,街上的书店和CD店相继消失。在这样的环境下,受众多消费者支持的售卖书和CD的店铺登场了。其中有代表性的就是茑屋书店。该公司对于这样的情况说明道“虽然店名为‘书店’,但并不是只卖书的地方。有书,有音乐,有电影,我们的目标是创造能够让人愉快度过‘时间’的空间”。

CCCが蔦屋書店を代官山に出店したのは、2011年のことである。現在では、佐賀県武雄市図書館などの図書館併設店舗なども含め、全国12店舗に広がっている。

CCC在代官山创建茑屋书店,是在2011年。现在,包含佐贺县武雄市图书馆等图书馆附设店铺在内,全国已经扩展到12家店铺。

CCCは蔦屋書店をライフスタイル提案の新しいプラットフォームとすることをめざしており、本だけではなく文具や雑貨なども積極的に扱う。スターバックスコーヒーなどとも提携し、落ち着いたインテリアの店内に飲食スペースを広く取る。

CCC将茑屋书店作为能提供生活方式的平台,不只是书,也积极售卖着文具和杂货。和星巴克也有合作,在室内装修让人安心的店内设置了饮食空间。

日本最大級のターミナル駅での挑戦

在日本最大的枢纽车站进行挑战

今回はそのひとつである大阪市の「梅田 蔦屋書店」(以下、梅田店)の亀井亮吾館長にお話をうかがった。

这次我们采访了“茑屋书店”其中之一家,大阪市“梅田店”的店长龟井亮吾先生。

梅田店がオープンしたのは2015年5月。JR大阪駅に隣接する駅ビルに約1200坪という大きな売場を確保しての出店だった。同ブランドにとっては、西日本への初の本格出店であると同時に、日本最大級のターミナル駅への新たな挑戦だった。

梅田店开业于2015年5月。是在靠近JR大阪站的车站大楼里占地约1200坪的大店。这是“茑屋书店”首次向西日本进军的1号店,同时也是挑战在日本最大的枢纽车站开店。

蔦屋書店が大切にしてきたのは、本との出会いを通じて、トータルなライフスタイルを提案することだった。ゆったりとくつろげる居心地のよい空間を、素敵な人が行き交う。そのなかで、本当に読みたい本との出会いを果たす。こうした知的刺激に満ちた出会いを提供することを代官山や函館の店舗から引き継ぎながら、梅田店では新たな挑戦として、ワークスタイル提案型の店づくりをめざすことになった。この「ワークスタイル」というテーマへのフォーカスは、日本有数のオフィス街の中心に位置し、多くのビジネスパーソンが行き交う立地を踏まえての判断だった。

茑屋书店看重的是通过和书的邂逅,对整体生活方式提出建议。在悠闲让人放松的空间中,和优秀的人交谈。并成功找到真正想读的书。梅田店和代官山和函馆店一样能够为人们提供知识层面的刺激,同时还有新的挑战,打造能为人们提供工作方式建议的店铺。因为为了实践“工作方式”这一关键,决定踏足日本为数不多的商业办公楼中心,这是许多白领聚集的地方。

梅田店が試みたワークスタイル提案型の店舗とは、単にビジネス書を多く並べた書店ではない。たとえば、働き方改革が叫ばれる昨今では、「子育て」もワークスタイルに関連する重要なテーマのひとつといえる。ワークスタイルを支える各種の教養にも目を配る必要があり、関連する人文書も合わせて並べると売上げがあがるという。そして梅田店では、各種のセミナーやイベントに使えるスペースを多く設けるとともに、カフェに加えて眼鏡、オーダーシャツ、セラピー、靴磨きなど、ワークスタイルの提案につながる物販やサービスのテナントが10以上入居している。

梅田店尝试为人们的工作方式提供建议,不单单是摆放许多商务类书籍。比如,近年呼吁的劳动改革中,“育儿“是和工作方式紧密联系的一个主题。工作方式关乎多方面教养的培育,同时上架关联的人文类书籍,就能提高销量。此外,梅田店设置了很多用于各种讨论会和活动的场所,除了咖啡,还有眼镜、定制衬衫、护理、皮鞋保养等,和工作方式有关的商品及服务承租有10种以上。

わざわざ出かけたくなる魅力の構築

拥有让人想出门魔力的建筑

蔦屋書店は、インターネット時代であるからこそ、インターネットではできないことの提供に徹してきた。

茑屋书店正因为身处互联网时代,所以专注于互联网无法提供的东西。

「あそこに行けば、欲しかった本がすぐに手に入る」

“只要到那里,能马上入手想要的书”

大手書店の多くは、こうした利便性の向上に力を注いできた。しかし現在の競争環境のもとでは、利便性の追求に頼った書店経営は危うい。成長を遂げたアマゾンをはじめとするネットショップは、在庫量や検索エンジンに優れ、24時間どこからでも発注できる。利便性という点では、この20年ほどのあいだにリアル書店の優位性は確実に低下してきている。

许多大型书店,都致力于提高这种便利性。但在现在的竞争环境中,依赖于追求便利性的书店是很难经营下去的。以不断成长的亚马逊为首,库存和搜索引擎都更占优势,24小时无论哪里都可以下单。在便利性这点上,在这20年间实体书店的优势确实不在。

そのなかにあって蔦屋書店は、利便性ではなく、わざわざ出かけたくなる魅力の構築につとめてきた。ではなぜ、蔦屋書店に多くの人が繰り返し足を運ぶのか。蔦屋書店は工夫を重ね、魅力づくりにつとめてきた。

在这种情况下,茑屋书店不重便利性,努力成为让人想要外出的魔力建筑。那么为什么,茑屋书店能让许多人不断前来?茑屋书店在创造魅力上狠下功夫。

第1に蔦屋書店では、書籍の販売に加えて、カフェなどの飲食サービス、さらには各種の物販やサービスの提供などを組み合わせた体験型のプラットフォームの形成にとつとめてきた。コーヒーを飲みながら、あれこれ料理の本を品定めしていると、かわいいテーブルウェアが販売されているのが目に入る。こうした五感を刺激し、蔦屋書店では各種のデータと観察、そしてロジックと感性を駆使した試行錯誤を通じて磨きあげてきた。

第一,茑屋书店不仅贩卖书籍,还致力于打造提供咖啡等饮食服务,同时还是提供许多物品和服务的组合式体验型平台。一边喝着咖啡,一边品鉴这样那样关于料理的书,还能看到贩卖着的可爱料理器具。五感不断被刺激,茑屋书店通过各种数据和观察,在逻辑和感性的驱使下,反复尝试打磨着自己。

第2に蔦屋書店は、書店という空間がもつ魅力を、インテリアや照明などによる空間デザインを通じて追求してきた。こうしたサイバー空間では実現が難しい魅力があることも、蔦屋書店に多くの人を引きよせる。

第二,茑屋书店通过室内装修和照明等空间设计,使书店极具空间魅力。这是网络空间难以实现的魅力,也是吸引客人的原因。

第3に蔦屋書店に行けば、想定していなかった本との出会いがある。蔦屋書店では、探していた本が見つけやすいことよりも、意外な本との出会いをうながすことを優先した陳列を行ってきた。たとえばそれは、ビジネス書のなかに関連した人文書も置くといったジャンル横断的な陳列である。さらに本探しの相談にのるコンシェルジュには、各領域のエキスパートが採用されており、知の小旅行となる彼らとの会話も楽しい。

第三,去茑屋书店可以找到意料之外的好书。茑屋书店的排列比起让客人容易找到想看的书,更优先考虑促成人们和意料之外的书相遇。比如,在商业类书籍中放入相关联的人文类书,这种打破门类的排列方式。独自的范畴基础上排列书的分布方式。此外聘用各领域的专家作为书店的接待员,当你需要书籍推荐时,和他们的谈话仿佛一次小型智慧旅行,让人开心。

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