少年与犬

馳星周『少年と犬』

驰星周《少年与犬》

第163届直木赏获奖作品

「少年と犬」は6編で構成されています。一匹の犬「多聞(たもん)」が様々な人との出会いと別れを繰り返しながら、最後に目的のところに行き着く物語です。2011年に発生した東日本大震災で飼い主を失った多聞は日本列島を縦断して、あるところを目指そうとします。人生のゆがみに気づきつつも手が打てずにいる者たちが本書の主役だ。途方に暮れているところに一頭の犬が現れる。どんなに孤独に感じても決して一人ではないのだと示す、神の恩寵のように。

《少年与犬》分为6章。讲述了一只名为“多闻”的狗在2011年的东日本大地震中失去主人后,以某地为目的地,纵贯日本列岛,在行途中与形形色色的人偶遇、分别,最终到达目的地的故事。本书的主人公们是一群明知深陷困境却又无计可施的可怜人。在日暮途穷时,一只狗的出现拯救了他们。多闻就像是上天的礼物,告诉人们无论觉得多么孤独无助也绝不是一个人在挣扎奋斗。

银花之藏

遠田潤子『銀花の蔵』

远田润子《银花之藏》

第163届直木赏候选作品

大阪万博に沸く日本。この物語の主人公は山尾家の一人娘・銀花。父は醤油蔵を継ぐことを嫌がり、絵を描くことで身を立てるべく大阪で暮らしていましたが、父の野望は叶わず、醤油蔵を継ぐために奈良に戻ります。奈良には父の母である多鶴子と父の歳の離れた妹・桜子がいて、ふたりとも愛想がなく、一家を歓迎していない空気が漂うのでした。父は醤油蔵の後継ぎとして仕事を覚えるために奔走しますが、母は頼りなげにぼんやりするばかり。多鶴子はそんな母に手厳しく接し、桜子は銀花に嫌味ばかり言い、居心地が良いとは言えない生活がはじまります。銀花は数々の悩みを抱え込んだまま、厳しい暮らしを続けるのですが、そんな銀花を待ち受けていたのはさらなる悲劇だったのです…。

日本上下沉浸在大阪世博会召开的喜悦之中。故事的主人公是山尾家的独女・银花。银花的父亲为了实现自己的绘画抱负放弃继承家族的酱油生意,离开老家奈良来到大阪生活。但最终没能实现梦想的银花父亲带着家人重新回到了奈良老家。祖母多鹤子和比父亲小很多的姑姑樱子对银花一家并不欢迎。父亲每日为了酱油生意而忙碌奔走,母亲却毫无依托终日无所事事。祖母多鹤子看不惯母亲的做派处处刁难,姑姑樱子也总是对银花恶语相待,银花在奈良的生活并不如意。被烦恼缠身,艰难度日的银花,还将面临一场更大的家庭变故…。

云纺

伊吹有喜『雲を紡ぐ』

伊吹有喜《云纺》

第163届直木赏候选作品

私立女子校に入った美緒は、高校2年の途中から不登校になり、自室に閉じこもっている。父方の祖父母がつくってくれた赤いショールを頭からすっぽりとかぶっているときだけは、体のこわばりがゆっくりと解けてゆく。だが、都内の私立中学で英語の教師をしている母親は、このショールに頼っている美緒に「いつまで赤ちゃん返りしてるの? そろそろ卒業しようよ」と言って隠してしまう。恐慌に陥った美緒は家を出て、盛岡の祖父のもとへ向かう。父と祖父は折り合いが悪く、美緒は物心がついてからずっと、祖父に会っていなかった。だが祖父は、突然現れた孫の美緒をやわらかく受けとめる。教師という仕事の中で困難を抱えている母、勤めている会社でリストラされかけている父、劣等感のかたまりで、自分の気持ちをはっきり言うことができない美緒。バラバラだった家族が、美緒の家出をきっかけに大きく変わってゆく。父と祖父の間のわだかまりも、徐々にとけてゆく。

主人公美绪就读于一所私立女子学校,高中二年级开始拒绝上学,每日把自己关在卧室里。只有从头到脚披上祖父祖母亲手制作的红色披巾时,心情才能得到片刻的舒缓。身为东京某私立中学英语老师的母亲对于美绪过度依赖披巾的行为很是不解“什么时候才能长大?差不多得了吧”,并把披巾没收。情绪陷入恐慌的美绪决定离家出走,投奔盛冈市的祖父。父亲与祖父的关系一向僵硬,美绪自懂事以来便不曾见过祖父。然而祖父对突然来访的孙女甚是亲切。苦恼于教师工作的母亲,面临公司裁员的父亲,自卑无法表达自己感情的美绪。支离破碎的家庭在美绪的离开后发生了巨大变化。父亲与祖父间的隔阂也逐渐化解。

人间

今村翔吾『じんかん』

今村翔吾《人间》

第163届直木赏候选作品

ある夜、狩野又九郎は主君である織田信長に最悪な知らせを報告する。「松永弾正久秀、謀叛」。信長の癇癪を恐れる又九郎だったが、信長はまるで慈しむかのように松永久秀の人生について語り始める。主君と将軍殺し・大仏殿の焼き討ちなど、天下の大悪人と評される松永久秀。しかし信長の口から夜通し語られたのは、世間の評判からはかけ離れた久秀の実像だった。久秀は貧しい商家の出身で、戦乱の中で両親や友人を不幸な形で失っていた。成長した久秀は、堺で阿波の大名・三好元長に出会う。元長の理想を共有した久秀は、自らの人生を賭けて夢に突き進んで行く。「悪人・松永久秀」の印象を覆す力作。

某夜,狩野又九郎匆忙向主君织田信长禀报,“松永久秀谋反了”。原以为信长会为此大发雷霆,但信长却面带笑意向又九郎讲起了松永久秀的人生。谋杀主君和将军、火攻大佛殿等等作为让松永久秀被世人看作天下十恶不赦的罪人。然而,那一晚信长口中的久秀却与世人的评价相去甚远。久秀出身贫寒的商人家庭,双亲和好友都在战乱中不幸离世。长大后的久秀在堺市(位于大阪南部)结识了阿波大名·三好元长。与元长志向相投的久秀,赌上了自己的人生为了梦想义无反顾。一部颠覆“恶人·松久永秀”形象的巨作。

能乐物语

澤田瞳子『能楽ものがたり 稚児桜』

泽田瞳子《能乐物语 稚儿樱》

第163届直木赏候选作品

「能」の名曲に着想を得て生み出された8編の時代小説集を収録した本作。

本作收录了以能乐名曲为灵感创作的8篇时代小说。

1「やま巡り」―遊女・百万と小鶴は雪山で怪しげな老婆と出会い、一夜の宿を借りることに……。(原曲『山姥』)

1「巡山」讲述妓女·百万和随从小鹤在雪山上偶遇了一位形迹可疑的老婆婆,并在她家借宿一晚发生的故事。(能乐原曲《山姥》)

2「小狐の剣」―刀工・鍛冶宗近の娘は、父を裏切った弟子の子を身ごもったことに気づき……。(原曲『小鍛冶』)

2「小狐之剑」讲述制刀的铁匠宗近的女儿怀有身孕,而孩子的父亲却是背叛宗近的徒弟。(能乐原曲《小锻冶》)

3「稚児桜」―貧しさゆえにその身を売られ、清水寺の稚児としてたくましく生きる花月。ある日、自分を売り飛ばした父親が突然面会に現れて……。(原曲『花月』)

3「稚儿樱」讲述花月出身贫寒,被卖到清水寺做童仆。某日,抛弃他的父亲突然出现在寺内……(能乐原曲《花月》)

4「鮎」―天下を取るべく隠棲先の吉野で挙兵した大海人王子。間諜の蘇我菟野は都に急報を告げる機会を窺うが……。(原曲『国栖』)

4「鲇」讲述大海人王子为了夺取天下在隐居之地吉野举兵起事,而身为暗探的苏我菟野正窥探时机向都内告密……。(能乐原曲《国栖》)

5「猟師とその妻」―山で出会った男から「自分は死んだと妻子に伝えてほしい」と頼まれた僧・有慶。僧はその願いを叶えるため、男の形見を持って東北を訪れる。(原曲『善知鳥』)

5「猎人与妻子」讲述僧人·有庆在山中偶遇了一个男人,男人拜托有庆向妻子报丧“告诉她我已经死了”。有庆为了兑现诺言,带着男人的遗物向东北方向行去。(能乐原曲《善知鸟》)

6「大臣の娘」―義母に疎まれた姫君を密かにかくまう乳母·綿売。ある日、偶然再会した生き別れた娘に秘密を打ち明けてしまう。(原曲『雲雀山』)

6「大臣之女」讲述公主被后母设计陷害,乳母·棉卖偷偷将其藏匿起来。某日,棉卖向失而复得的亲生女儿道出了这个秘密。(能乐原曲《云雀山》)

7「秋の扇」―遊女・花子は、かつて愛を交わした吉田の少将を追って京へ。形見の扇を手に下鴨神社に現れる姿が評判となるが……。(原曲『班女』)

7「秋之扇」讲述妓女·花子为了追随深爱的少将吉田来到京都。传闻她每天带着吉田送的扇子出现在下鸭神社苦苦等着爱人……(能乐原曲《班女》)

8「照日の鏡」―高名な巫女・照日ノ前に買われた醜い童女・久利女。翌日、生霊にとりつかれた光源氏の妻・葵上のもとに連れていかれる。(原曲『葵上』)

8「照日之镜」讲述其貌不扬的女童·久利女被卖给了声名显赫的巫女·照日之前。第二天,巫女将久利女带到了被生灵附身的光源氏妻子·葵上的身边。(能乐原曲《葵上》)

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