春、と言えば桜(ソメイヨシノ)。淡いピンクの花が咲き誇る満開の姿も潔く散るはかない姿も、今風に言えばエモい。出会いと別れのこの時季に文字通り花を添える。その桜に異変が起きているらしい。

春天是樱花的专属季节。淡粉色花朵绽放时清新美丽,悄然飘落时又带着一丝孤寂淡雅,这就是人们常说的“エモい”吧。樱花为这个相逢又离别的季节增添了别样的情调。但似乎,日本的樱花正发生着一些改变。

調べてみると、福岡県ではここ40年で開花日は9日早まり、開花から満開までの日数も長くなっていた。気候変動の仕業という。

据调查,近40年来,福冈县的樱花开花日提前了9天,从开花到花朵盛开之间的天数也有所延长。普遍认为这是气候变化造成的影响。

3月中旬。福岡では最高気温20度を超える日が続き、めっきり暖かくなった。当初桜の開花日の予想は22日だったが「早まるかもしれません」と福岡管区気象台。

3月中旬,福冈连续数日最高气温超20℃,天气显著变暖。初步预测樱花的开花日起是3月22日,但福冈气象局后又表示“可能会提前”。

「開花を確認しました」。17日午前、福岡管区気象台の標本木に5輪の花が咲いた。観測員が指さして1輪、2輪…と確認し、全国一番乗りの開花宣言だ。

“确实开花了”。17日上午,福冈气象局的标本木上开出了5朵樱花。观测员逐一确认,该地也成为今年全日本第一个宣布樱花开花的地区。

注:标本木是指各地气象局(站)在附近选定的一棵吉野樱树,以便观测。

温暖化で九州の桜の開花は早まり、南部よりも福岡県で真っ先に開花する例が近年相次ぐ。福岡では1970年代(平均)に3月29日だった開花日が、2010年代(同)は20日に早まり、鹿児島、宮崎両県を追い越した。

气候变暖导致九州地区樱花的开花期提前,近年来更是相继出现福冈县比九州岛南部地区的樱花开得更早的情况。在20世纪70年代(平均),福冈的开花期一般是在3月29日,但进入21世纪后,开花期就提前到了20日,超过了鹿儿岛和宫崎两县。

九州大名誉教授(気象学)の伊藤久徳さん(73)が「開花には冬の寒さが大切」と解説してくれた。鍵は「休眠打破」というメカニズム。10度以下の寒さに一定期間さらされた花芽は眠りから覚め、開花へと準備する。冬が暖かくなりすぎると、休眠打破が進まず、咲きにくくなる。「桜前線は北上する」という定説が崩れた背景は、九州南部の冬の暖かさにあるようだ。

九州大学气象学名誉教授伊藤久德(73岁)解释说“冬季的寒冷程度对樱花的开花情况有着至关重要的影响”。关键是“打破植物休眠”机制。当花芽暴露在10℃以下环境一段时间后便会从休眠中苏醒,准备开花。如果冬季天气偏暖,樱花的休眠期就不会被打破,也就很难开花。九州岛南部地区冬季过于温暖会直接导致“樱花前线一路北上”成为谬论。

伊藤さんは09年、当時の温暖化シナリオで今世紀末の桜の開花を試算。寒い地域で早まる一方、暖かい地域では逆に遅くなり、九州北部から関東まで一斉に開花する結果に。満開にならない現象も起きた。

早在2009年伊藤教授就根据当时的气候变暖现象估算了本世纪末樱花的开花情况。一方面,寒冷地区的花期会提前,但温暖地区的花期反而会错后,最直接的表现就是,九州北部到关东地区的樱花会同时开放,也会出现樱花无法彻底盛开的现象。

「温暖化が進行すると一律に開花が早まる、というわけではない。そこに桜の面白さがある」と語る伊藤さん。

伊藤教授还强调“并不是说随着全球变暖加剧,所有樱花的开花期一律提前。这就是樱花的有趣所在”。

20年は試算が現実になったかのようだった。記録的な暖冬で花ごとの成長速度が異なる「だらだら咲き」。鹿児島では開花から満開までの期間が平年より8日も長い18日間だった。伊藤さんは「異常な年が普通になっていくかもしれない」と“予言”する。

2020年,这个预想成为了现实。这一年日本迎来了有史以来最温暖的冬天,所有樱花都在“缓慢生长”。在鹿儿岛,开花到彻底盛开的时间为18天,比往年多了8天之久。伊藤教授“预测”:这样不寻常的情况很可能演变为常态。

森林総合研究所九州支所(熊本市)の地域研究監・勝木俊雄さん(54)。18年、国内の野生種としては103年ぶりとなる新種の「クマノザクラ」を発見したすご腕だ。

胜木俊雄(54岁)是森林综合研究所九州支所(熊本市)的地区研究监事。2018年他发现了新的樱花品种“熊野樱花”,这也是日本时隔103年后再一次发现野生樱花品种。

勝木さんは暖かい気候や環境が桜にどう影響するのか、調べるという。県内各地の桜に定点カメラを付けて、幹にラベルを張る。花の観察だけでなく、落葉や土の状況を県内各地で長期的に分析するという。「例えば季節外れの狂い咲きは夏の乾燥の影響と思われる。まずは丹念に見ていこう、というのが狙いです」。試算だけでは分からない実態の解明には地道な検証が必要だという。

胜木先生将就变暖的气候与环境对樱花的影响问题进行调研。在县内各地的樱树上安装定点照相机,并在树干上贴上标注。不仅要观察花朵,还要长期分析该县各地的落叶与土壤状况。“比如,花朵不应季的开放很可能是因为夏季干燥缺水。目前最重要的任务就是仔细观察”。毕竟实践才能出真知。

そもそもソメイヨシノはなぜ広まったのか。美しいというのは言うまでもなく、「安い、早い、丈夫。育てるのが楽なんです」(勝木さん)。接ぎ木で増える「クローン」のため全国で育ち、花を付けるまで5年程度という手軽さがウケたのだ。

为什么吉野樱如此常见呢。吉野樱的美艳自不必说,“价廉、快速、坚韧。很容易成活”(胜木先生)。因为易嫁接易成活,吉野樱遍布日本列岛,从培育到结花只需5年左右。

脱線ついでに、桜に欠かせない花見文化にも触れたい。中国から伝わった梅や桃をめでる宮中行事を起源に、日本では平安時代に始まったとされる。野生種のヤマザクラが対象だったが、明治時代にソメイヨシノが一気に普及して今につながったそうだ。

提到樱花就不能不讲一讲赏樱文化。它起源于中国,在中国皇家中有一项观赏梅花、桃花的宫廷仪式,后在平安时代传入日本。一开始人们观赏的都是野生山樱,到了明治时代吉野樱才一下子普遍开来,直至今日。

国民的人気の桜は温暖化がさらに進めばどうなるのだろう。咲かない、あるいは咲いても満開にならないみすぼらしい姿が増えて「鹿児島や四国、紀伊半島南部は50年後に桜がなくなるんじゃないかな」と勝木さん。「そんなに早くですか!」とつい声が出た。余生では子どもや孫とみやびなお花見をしたいのに…。

如果全球气候进一步变暖,日本民众钟爱的樱花将会发生怎样的变化呢。无法开花、亦或是无法彻底盛开,花朵萎靡发蔫将屡见不鲜,胜木先生说:“再过50年,鹿儿岛、四国、纪伊半岛南部的樱花恐怕会消失”。

「温暖化が進む時代では今までになかったことが次々に起こる。これまでの経験を生かすことができない時代です」(伊藤さん)。

伊藤教授曾跟记者说过“在全球变暖的大环境下,很多异象相继发生。这是一个我们无法预判的时代”。

桜 日本には野生種が10種、栽培種はおよそ100種ある。九州では野生種のヤマザクラやツクシヤマザクラが咲く。ソメイヨシノは江戸時代にできた栽培種。接ぎ木で増える「クローン」のため、ほぼ全国で育ち、花を付けるまで5年程度という。福岡管区気象台によると、1953年から2020年までの観測で、ソメイヨシノの開花日は九州・山口県で10年当たり1日、福岡では1.8日早くなっている。

樱 在日本有10种野生品种以及约100种栽培种。九州当地生长的是野生山樱以及熊野樱。吉野樱是江户时代栽培出的品种,它是通过嫁接培育出的“克隆”品种,遍布全日本,需要培育5年左右方可开花。根据福冈气象局提供的数据,从1953年到2020年,九州·山口县的吉野樱开花日每10年便提前1天,而福冈则是提前1.8天。

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