その少女は、空港のある街から東京にやって来た。デビューが決まったときにはまだ生まれ育った兵庫県伊丹市におり、青年コミック誌『ヤングジャンプ』の初グラビアも、上京時に乗るはずの飛行機を背にした写真で始まっていた。それからまもなくして高校3年に上がるタイミングで上京し、吉瀬美智子主演のドラマ『ハガネの女』（2010年）で俳優としてデビューする。

这个女孩从机场所在的城市来到东京。决定出道时的她还在自己出生成长的兵库县伊丹市，在青年漫画杂志《young jump》上的第一张写真，也是以她来东京乘坐的航班飞机为背景拍摄的。之后不久，高三的她来到东京，在吉濑美智子主演的电视剧《钢之女》（2010年）中正式作为演员出道了。

時は流れ、デビュー時点で17歳だったその少女――有村架純もきょう2月13日、30歳の誕生日を迎えた。目下、NHKの大河ドラマ『どうする家康』で、松本潤演じる松平元康（のちの徳川家康）の正室・瀬名を演じ、話題を呼んでいる。

时光荏苒，出道时仅17岁的少女——有村架纯，在2月13日的今天迎来了她的30岁生日。目前，她正在NHK大河剧《怎么办家康》中饰演松平元康（松本润 饰）的正室妻子濑名，引起了观众热议。

「瀬名の受難」を熱演

精彩演绎“濑名的苦难”

これまで劇中で描かれてきたように、駿河の今川氏の人質だった元康は、桶狭間の戦いで主君の今川義元（野村萬斎）が尾張の織田信長（岡田准一）に討たれたのち、織田方についた。このために駿河で留守を預かっていた瀬名は、義元の跡を継いだ今川氏真（溝端淳平）から裏切者の身内として厳しい処置を受ける。

就像剧中演绎的那样，元康曾是骏河今川氏的人质，在桶狭间之战中，主君今川义元（野村万斋 饰）被尾张的织田信长（冈田准一 饰）杀死后，元康加入了织田一方。因此，留在骏河的濑名就被义元的继承人今川氏真（沟端淳平 饰）当作叛徒的亲人，受到严厉的责罚。

瀬名はほんわかとした癒し系キャラだっただけに、周囲の者たちを処刑され、自らも氏真に命じられて不承ながら体を捧げるなど責め苦を負わされる姿は、見ているほうも辛くなる。それでも昨日の放送では、瀬名の奪還作戦が1度の失敗を経て再び実行された末、ついに彼女は、責めはすべて負うと氏真に申し出た両親を残し、後ろ髪を引かれながらも2人の子供とともに元康のもとへ戻った。

濑名是一个温柔的治愈系角色，然而，她身边的人被处刑，自己也因氏真的命令，不情愿地献出了自己的身体，看到她痛苦的样子，真的让人很是难过。而在昨天的播放内容中，濑名夺回战在经历了一次失败后再次重启，最后她抛下向氏真提出要承担全部责任的双亲，义无反顾地和两个孩子一起回到了元康身边。

瀬名の受難が見ている者の心を痛ませるのは、当然ながら有村の演技によるところが大きい。彼女のデビューして数年ほどのインタビューを読むと、演技を「その役を生きる」と表現しているのが目につく。《自分の熱量と役が持つ熱量が並行して走っている感じ》をそう呼ぶのだという（『GALAC』2016年2月号）。たとえば、ドラマ『ぼくの夏休み』（2012年）で初めて演じたヒロインは、現代から戦時中にタイムスリップして空襲のなか一緒だった兄と生き別れ、終戦後もさまざまな苦難に遭うという大変な役だったが、有村はあとで振り返って《少し、“役を生き抜けた”感覚を味わえた。そこからは演技をするのが、ちょっとずつ楽しくなってきましたね》と語った（『an・an』2013年10月23日号）。

濑名的苦难让闻者心痛，这其中当然与有村的演技有很大的关系。在她出道不久的采访中，就演技她说过是“让这个角色活过来”的一种表现方式，让我们记忆犹新。当时她说：“这就是自己的能量与角色的能量并驾齐驱的感觉”（《GALAC》2016年2月号）。比如说，她在电视剧《我的暑假》（2012年）中首次担任女主，这个角色从现代穿越到战争时期，在空袭中与一同生活的哥哥经历了生离死别，在战争结束后也遭受了各种苦难，是一个很难的角色。而有村在回忆时则说：“有点了解到‘活过一个角色’是什么感觉了。今后我也能慢慢开始享受演戏了”。（《an・an》2013年10月23日号）

転機となった「あまちゃん」出演

转机是出演《海女》

翌2013年には、NHKの朝ドラ『あまちゃん』でヒロインの母親（小泉今日子）の若い頃の役を演じ、ブレイクを果たす。三陸海岸沿いの小さな町から、アイドルを目指して上京するという同役は、有村いわく自分自身そのもので、これまでにないくらい感情移入でき、《「ああ、役を生きるってこういうことなんだ」って思える瞬間が何度もありました》と、のちに振り返っている（『an・an』2014年10月8日号）。

第二年，也就是2013年，有村在NHK晨间剧《海女》中饰演了女主角母亲（小泉今日子 饰）的年轻时代，她也凭这部剧大火。这个角色出生在三陆海岸的小镇中，为了偶像梦想而来到东京。有村说这个角色就像她自己，所以也在这个角色中倾注了前所未有的感情，之后她也回忆“有很多个瞬间让我觉得‘原来演活一个角色是这种感觉’。”（《an・an》2014年10月8日号）

じつは、『あまちゃん』の放送が始まる直前、有村は20歳を迎えるとともに「絶対に私は今年で変わるんだ!」と決めていたという。それというのも、俳優の仕事を始めて3年ほど経ち、ある程度は慣れてきたが、その慣れが自分への甘えとなり、楽しむことができずモヤモヤした状態が続いていたからだった（『an・an』2014年12月3日号）。

实际上，在《海女》播出前，有村就迎来了自己的20岁生日，当时她决定“今年一定要有所改变！”。这是因为，当了三年演员后，虽然在某种程度上已经习惯了这种生活，但这种习惯变成了对自己的放纵，于是自己处于一种无法享受表演的莫名其妙的状态。（《an・an》2014年12月3日号）

『週刊文春』の「原色美女図鑑」の初登場時、その本番の撮影前に2ヵ月にわたって写真家の大江麻貴と同居し、朝起きて夜寝るまでずっと撮影されたときだった。

在有村首次登上《周刊文春》“原色美女图鉴”时，她和摄影师大江麻贵在拍摄前同居了两个月，从早上起床到晚上睡觉一直都在拍摄。

このとき、大江から「女優になる覚悟がないんじゃない?」と言われ、有村は《自分の甘さが恥ずかしくて、すごく悔しかった》という（『週刊文春』2013年2月7日号）。このままではいけないと、先述のとおり決意を固めた彼女は、『あまちゃん』のオーディションを受け、本来応募したヒロインでこそなかったものの、重要な役に選ばれたのだった。

当时，大江问有村“是不是没有当女演员的觉悟？”，有村说“对自己的放纵感到非常羞耻，也很悔恨”。（《周刊文春》2013年2月7日号）。意识到不能再这样下去的她做出了上文的决定，参加了《海女》的试镜，虽然当时竞选的是女主，但最后还是成功得到了一位重要角色。

『ひよっこ』撮影中の葛藤

《雏鸟》背后的故事

朝ドラのヒロインには、その後、2017年の『ひよっこ』で起用されている。このとき、すでに多くのドラマや映画に出演し、『ひよっこ』のヒロインにも脚本家の岡田惠和の強い要望もあり、オーディションなしで決まった。だが、有村はこの期に及んでも、芝居に関して自信が持てなかった。

之后，有村架纯在2017年的晨间剧《雏鸟》中担任了主角。当时，她已经有了很多电影电视剧傍身，能够担任《雏鸟》的女主角也是受到了编剧冈田惠和的强烈邀请，因此才没有试镜直接敲定。然而，有村却没有自信在表演上达到编剧的期待。

本人によれば《『ひよっこ』の撮影中には、NHKの西口玄関までは行くものの、そこから足が進まず、玄関前で立ち尽くしたことがよくあって……（苦笑）。そんなときは、『こんなところで自分に負けちゃダメ!』って言い聞かせながら、足をトントンたたいて、何とか乗り切りました》というから、まるでこれ自体が朝ドラの一エピソードのようだ（『週刊朝日』2018年12月7日号）。

据有村本人回忆：“在拍摄《雏鸟》时，我走到NHK西口大门，经常到了门口却再也迈不开步子，只能呆站在大门口......（苦笑）。当时，我告诉自己‘不能在这个地方认输！’，然后拍拍自己的腿挺过去”。听她讲述的这段经历本身就像是晨间剧的故事一般。（《周刊朝日》2018年12月7日）

そんなふうに壁にぶち当たっては自力で乗り越えてきた彼女を、《有村さんは、丁寧に生きようとしている方だと思いました。若いのに、一つひとつの仕事に向き合おうと努力している姿がすごいなと》と評したのは、映画『関ヶ原』（2017年）で初めて共演した岡田准一である（『週刊朝日』2017年9月1日号）。『どうする家康』では信長を演じる岡田だが、このときは石田三成の役、有村は三成に仕える忍びの役を演じた。

她就是这样，碰壁之后又靠自己挺了过去。在电影《关原之战》（2017年）中首次与有村合作的冈田准一这样评价她：“我觉得有村是一个活得很认真的人。虽然年轻，但她认真努力地面对每一个工作的样子真的很厉害”。（《周刊朝日》2017年9月1日号）。在《怎么办家康》中，冈田饰演信长，而他在《关原之战》饰演石田三成，当时有村饰演侍奉三成的忍者。

有村と共演した俳優はおおむね、彼女について好印象をもって語っている。昨年放送のドラマ『石子と羽男』で共演した中村倫也は、《わりと好き勝手にやっちゃう僕に対して、架純ちゃんは自由にやらせてくれながら、たまに付き合って一緒に遊んでもくれる》と、彼女の度量の広さを強調した（『an・an』2022年7月13日号）。

与有村合作过的演员大多都对她赞不绝口。中村伦也在去年播出的电视剧《石子和羽男》中与有村合作，当时他就夸赞了有村的大度，他说：“我比较随心所欲，但架纯还是会让我自由地玩，偶尔也陪我一起玩”。（《an・an》2022年7月13日）

菅田将暉が「有村さんじゃなければ…」

菅田将晖：“要不是有村的话......”

また、同い年で誕生日も2月21日と近い菅田将暉は、かねてより有村とお互いにガッツリ共演したいと思っており、映画『花束みたいな恋をした』（2021年）の恋人役でその念願をかなえた。菅田は有村について《愚痴を言い合えたらラクだろうし、この人には言えるという感じがあって》と思っており、実際に共演してみると《有村さんじゃなければ、こんなに対等にはできなかった》と、有村との対談で明かしている（『フィガロジャポン』2021年3月号）。

2月21日出生的菅田将晖与有村架纯同年，生日也相近。很久之前菅田就想和有村合作，终于在电影《花束般的恋爱》（2021年）中实现了这个愿望，饰演了情侣。菅田觉得有村“能互相抱怨就很轻松，而且我感觉能和这个人说这些话”，合作之后，他也坦言与有村交流后觉得“如果不是有村的话无法做到如此平等”（《FIGARO japon》2021年3月号）。

有村はキャリアを重ねるうち、どんな俳優と共演しても、相手の個性を引き出し、ひいては自らの存在感を示す域にまで達しつつあるようだ。強烈な個性を持つわけではないが、印象に残る役を演じ続け、見る者を引きつけてやまない。そんな普通っぽさが彼女の武器ともいえる。

在有村的演艺生涯当中，与多位演员都有过合作，而她每次都能激发出对方的个性，进而以此来彰显自己的存在感。她本身虽然没有特别突出的个性，但却能一直饰演让人印象深刻的角色，让观众深深为之动容。这种“普通感”或许正是有村架纯的武器。

「私は、顔も華やかではないし…」

“我长得也不是很好看......”

それは彼女自身、以前から意識していたことでもある。『あまちゃん』で一躍注目されたあと、自分のどこがみんなに受け入れられたと思うかと訊ねられると、《うーん。普通なところ?　でしょうか（笑）。私は、顔も華やかではないし、モデルさんのようにすごいオーラもないけど、親近感のようなものを感じてもらえたらうれしいです》と答えていた（『サンデー毎日』2013年11月24日号）。

而她本身一直以来有一个非常在意的点。凭《海女》爆火之后，有人问她觉得自己的哪些地方被大家接受，当时她回答“嗯......。就是普通吧？（笑）。我长得也不是很好看，也没有像模特那样了不起的气场，要是能让大家有种亲切感的话我就很开心了”。（《Sunday每日》2013年11月24日号）。

近年にいたっても、ドラマ『姉ちゃんの恋人』（2020年）で主演したときには、弟役の子から「普通の人で良かった」と言われたことがあったという。これを受けて有村は《そう言ってもらえるのは、ちょっと安心しましたね。私もそういう感覚を忘れたくない人間でもあるので、ちゃんと地に足つけて生きていきたいなって思うので》と語っている（『CUT』2021年2月号）。

时至近年，她主演电视剧《姐姐的恋人》（2020年）时，饰演剧中弟弟角色的孩子也说她“幸好是个很普通的人”。有村听了之后也说“听到他这么说我反而放心了。我也不想忘记这种感觉，也想脚踏实地地认真生活”。（《CUT》2021年2月号）

普通の人を自然に演じられるからこそ、見る者は彼女に自分や身近な人を重ね合わせて共感を抱けるのだろう。映画『何者』（2016年）で同年代の俳優たちとともに就活生を演じたときも、有村の役はあまり特徴がなく、演じながらもこれでいいのかなと思う部分が多かったという。だが、共演者のひとりだった二階堂ふみは彼女の演じる役を見て、《エンジェルだ!　と思ったの。役柄自体が華々しいわけじゃないのに、ちゃんと大事な場面では作品の華になれるのって、本当にすごいことだから》と絶賛した（『an・an』2016年10月26日号）。

正因为她能十分自然地诠释普通人，所以才能让观众看到她时有种投射到自己熟人身上一般的亲切和共鸣感。在电影《何者》（2016年）中，她和同年代的演员们一起演绎了年轻人的求职生活，其中有村的角色似乎没有什么特点，在饰演角色时她也觉得就这么普通真的好吗。但是，与她合作的二阶堂富美在看到她饰演的角色之后却大赞“我觉得她就是天使！虽然角色本身并不突出，但在重要戏份中却能成为作品的点睛之笔，真的很厉害”。（《an・an》2016年10月26日号）

30代を前に抱いていた危機感

30岁前的危机感

本人はこれまで多く演じてきた役を「“ザ・主人公”ではない主人公」と表現している。先述の二階堂ふみの評からしても、そうした役柄で俳優として地歩を築いたのは間違いない。ただ、20代も終わる頃には、本人のなかで、《30代に向けては幅も持たなくてはと思います。今まで私がやらせていただいてきた役は、20代だからこそできた役で、今後は職業ものなども加えていかないと、どんどん幅が狭くなっていってしまうな、と今もすごく考えています》と、危機感も生まれていたようだ（『日経トレンディ』2021年12月号）。

有村本人评价自己饰演的这么多角色是“不是真正主人公的主人公”，正如上文二阶堂富美的评价，这类角色无疑帮助她确立了自己作为演员的地位。然而，在即将迎来30岁之时，她却觉得“我觉得30代也要有一定的成长。我现在也这么觉得，过去我饰演的角色都是因为我也是20多岁才能饰演的，今后如果不增加职业之类的角色属性的话，我的戏路就会越来越窄。”可以看出她在此时心中的危机感。（《日经trendy》2021年12月号）

別のところでもやはり、《少しずつ間口を広げていきたい》と述べつつ、《かといって、これまでやったことがなかったような役をいきなりやったらみてくださる方も戸惑うし、自分もギャップに苦しむことになると思うんですね。だからちょっと行って戻って、また行って……を繰り返して、いつの間にか幅が広がっていた、というのが理想です》と語っていた（『Pen』2021年2月1日号）。

在其他方面，有村也同样“想一点一点地扩大自己的范围”，“虽然这样说，但是如果突然饰演一些以往没尝试过的角色，观众也会感到困惑，自己也会为这种反差而烦恼。所以我的理想状态就是，稍微尝试突破一下，然后再回来，然后再尝试......这样慢慢拓宽自己的戏路”。（《Pen》2021年2月1日号）

「泥をかぶるような役をやってみたい」

“我想演一个替人背锅的角色”

いまはまさに有村にとって「ちょっと行って戻って、また行って」という過渡期にあたるのかもしれない。前掲の『Pen』の記事では、いままでいわゆる職業ものをやったことがないので、《誰かのために汗水流して、泥をかぶるような役をやってみたい》と語っていた。その目標も、昨年公開された映画『前科者』で、元受刑者の更生を助ける保護司を演じたことで、まずは達せられた。

而现在，说不定正是有村所谓“稍微尝试突破一下，然后再回来，然后再尝试”的过渡期。在上文《Pen》的采访中，有村称自己没有尝试过有职业属性的角色，所以“想尝试为了别人流血流汗，背黑锅的角色”。而这个目标也在去年上映的电影《前科犯》中达成了，她在影片中饰演了一个帮助有前科罪犯重回社会的保护司。

もちろん、初めての大河ドラマである『どうする家康』も彼女にとって大きな挑戦であることは間違いない。史実では悲劇的な結末を迎える瀬名の役を生き抜けたあとで、俳優・有村架純はどんな境地に達するのだろうか。

当然，本次首次出演的大河剧《怎么办家康》对她来说无疑也是一大挑战。饰演了这位在历史中悲剧一生的濑名之后，演员有村架纯又将到达何种境界呢？

有村架纯30岁生日快乐！！希望迈入而立之年的村花能得偿所愿，突破自己，无畏地尝试自己想尝试的，多多活跃在大荧幕中！期待未来更好的村花和更精彩的作品 ！​

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