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大学英語教育の現状と課題-中国の場合-

1. はじめに

日本ではアジア諸国の英語教育が近年特に注目されており、英語学習者が約3億人以上いるといわれる中国もその例外ではない。英語は国際語として近年,ますますグローバル化しており、中国政府もそれに対応できるような総合英語運用能力の養成に向けて改革を行っている。即ち、従来の文法・語彙知識中心授業に偏りがちであった英語教育方法から脱却し、新しいトレーニングモデルの構築、英語課程教学(学習指導要領)やテキストの改訂など「国家戦略」に基づく改革を行っているが、実態はどのようなものなのであろうか。現場のクラスを観察することは貴重ではあるが、中国での外国人研究者の研究調査、授業観察(井上、2001;沖原、1997;尾関、2006;沼野、1997 など)は重点校、拠点校で行われる事が多く、しかもよそ行き用で普段とは違う場合が多々あるようである。その記録はあくまでも「成功している一部のエリート校」のものであって「中国一般の現状」ではない場合が多く、平均像をつかむのは難しいと思われ。本稿ではその点を踏まえ、中国の大学英語教育の状況・実態を概観し、特徴をまとめ、「現状報告」を通してその外国語教育政策の意図を探りたい。また、今まであまり注目されてこなかった英語教育の問題点などを指摘し、終章では日本の英語教育の将来に示唆できる点などを示したい。

2. 中国の大学英語教育の諸状況

中国の大学英語教育は厳しい全国統一の選抜試験に合格した選ばれた学生達のためのものである。その学生たちは拘束力の強いカリキュラムにのっとり必死に勉強し、あるいはさせられ、ある程度の成果を挙げてきているようである。特に1978 年の開放政策以来、英語は科学技術などの外国知識を取り入れることのみならず、国際貿易の鍵として扱われている。到達目標は小学校から大学院に至るまで学習指導要領で明確に定められている。また、自分の専攻分野においては英語読解力をつけ、必要な情報を入手できるようになることが大きな目標になっている。特に理系分野においてその目標が強化されている(Wang、1999: 45)。中国の大学では全専攻とも英語は最短でも2 年間は必修科目であり、できるだけ英語を英語で教え、在学中の統一試験の突破が主な目標となっている。

2.1 目標とコース

大学英語教育の目標は、「学生の総合的英語応用力-特にリスニング,スピーキング-の育成に置く」、としており、一般、比較的高度、高度の3レベルに分かれている。例えば「一般レベル」では非英語専攻の場合、日常会話ができる, 準備すれば精通した話題について討論できる、表現が明確で発音、イントネーションが概ね正確である、などとなっている(本名、2007: 44)。非英語専攻コースは6 つのバンド(College EnglishBand : CEB1~6)に分かれており、それぞれ1バンド1ターム(1学期)となり、それに沿った授業を行う。教科書を使って進めてゆく方式が主流で授業は主に英語で行われる。各バンド終了時には学力検査がある。最終的には必修期間であるCEB4までを修了し、それに対応するCollege English Test(CET)4試験を受験しなければならない。これが多くの大学にて卒業要件と学位取得条件となる。これは大学生が一番気にしている試験であり、このために英語を勉強しているといっても過言ではない。

大学院進学希望者、外資系企業志望者などは彼らの進路に必須か、有利にするために1ランク上のCET6試験を目指す(沼野、1997;井上、2002)。レベルはCET4 級:およそ英検2 級~準一級レベル(語彙数約4200)、CET6 級:英検準1 級レベル(語彙数約5500 以上)であり、試験時間は125 分、4 技能を測り、読解問題、作文等の記述問題の量が多い。記述、選択式問題の両方があり、スピーキングテスト実施は大学の選択に任されている(井上、2002;Lin, 2002)。

2.2 テキスト

大学英語教育の中でも中心となるものは教科書である。中国の大学授業は日本と違い、学習指導要領、カリキュラム、統一英語テストが存在し、学習事項がコースごとに決まっている。その結果、教科書もおよそ固定されるため、特定の教科書が使われることが多い。主なものとして2 つあり、以下のものである。

*「大学英語(College English)」非英語専攻の大学で最も使われている教科書は“College English”シリーズであり(Wang、1999)、その中で最も使用頻度が高いものは“Intensive Reading(IR:精読)で、1冊約200ページ、語彙約5100,1冊1学期用、6学期分”である。
* 「大学体験英語(Experiencing English)」も最近採用大学が増えてきている。このシリーズは4 種類あり、 1タームで4冊、4学
期2年分だと16 冊である(本名、2007: 44)。単純計算すると、日本では2年間で3~4冊程の量、そして中国の半分程の厚さであるから、比較するとトータルでは日本の約8~10倍の学習量である。

英語教科書の構成、内容共通事項については、基礎力を重視し、4 技能が満遍なくつくように一冊に編纂されている(IR を除く)が、文法、読解、作文、暗記に重点が置かれている。また、練習問題の量が多く、同じ文法、語彙が繰り返し出現し、確実に習得させる傾向がある(spiral structure)。題材は極端な社会主義的主張は減ったが、自国礼賛の民族主義的主張が強めな内容が多い(市川、2005: 62;Wang & Gao, 2008: 5)。

2.3 英語授業の実態

ここで大学での英語授業の状況、実態を学生からのアンケート等を用いて調査した市川(2006 : 40)と末延(2002 : 134)のデータを一つの例としてその教育の実態を見てみたい。非英語専攻者の英語授業の概要を以下にまとめると、週に4~6 時間程度(120 分×週2 回、又は60~90 分×週4回)程度、授業があり、クラスザイズは18-40 人(30人以下が基本)、教師の英語使用率は60-90%、学生は50-70%、教師、教科書主導授業で練習問題と教師の説明が主なものであった。

メインコースはIntensive Reading(精読)、次がListening(聴解)であり、CET4のために学生は勉強し、英語専攻以外の学生のためか、多くの学生は英語そのものに興味は持っていない。しかしながら、ほとんどの学生がCET4 をパスするということであるから基本的な英語力は(強制的にせよ)習得されていると考えられる。今後の課題としてOral Exerciseの不足、試験のための勉強への偏り、Intensive Reading集中への弊害(メインアイディアをつかむ訓練がなされない)、などが挙がっている。また、Lin (2002)、横井(2008 : 6)によると、教え方は旧態依然としており暗記中心、唯我独尊的な点もあり、Teaching Methodology は無いに等しいとの報告もあり、その理由としてカリキュラム、テキストがどこの大学も同じで決まっているので、教え方、内容も大学による大差はあまりないようである。

3. 英語教育を含めた中国の大学教育の特長

特長をまとめるといくつかあり、まず、大学入学生の質の高さが挙げられる。彼らは高卒試験9科目にパスして(合格ラインが総合点、単科目点ともにあり)初めて大学入試受験資格が得られる(遠藤、2000: 316)。次に学生の英語学習に対するモチベーションの高さ、がある。自分の将来、専門研究のため、留学、出世、経済的な理由、自国の発展のため、と考え、学生の学習意識は日本人学生のように「なんとなく」「欧米に憧れて」など浮ついた軽い気持ちは少ない(2002、末延)。

そのような学生達を受け入れるのが質的に優れている英語教育である。大学にも学習指導要領があり、目標が明確化され、在学中に英語統一試験(CET)受験が義務付けられている。また、英語教育は英語の学習量が圧倒的に多い。学習指導要領では日本のものと単純比較して2 倍以上の語彙、テキストの量も2 倍以上(小池、2007: 38)である。また、大学の位置づけも特徴的であり、大学自体は教育主体となっている。研究は一部の重点大学や社会科学院、科学院などが担当し、一般大学は教育に非常に力を入れており(白佐、2002: 69)、それを疎かにしないための対策がある。「本科教学工作評価」「紅黄牌制度」といった大学教育をチェックする体制が存在し、教育水準が落ちないようになっている(遠藤、2000:263-268)。

以上5 つほど特長を挙げたが、これらは「科教興国-科学技術の発展とともに教育を興国の中心に据える、という教育政策の表れである。

4. 今後の課題

まず、英語教育自体の課題として、学生ニーズとの不一致がある。語彙、内容の自由裁量制限、テキストが非現実的、という状況に対し、学生は最新情報、国際問題、実用英語などを求めている。また、CET 突破が学生にとって最大限の目標になっているため、どうしても試験対策に偏りがちな授業になってしまう(本名、2005;Lin, 2002)。また、精読への集中の問題もある。これらは各大学の教員側の努力で解決されるべきであろう。そして教師の質の問題である。大学でも英語教師不足は続いており(Lin, 2002)、学歴が教員資格の中国の大学ではせっかく英語を勉強しても給与の良い職に流れてしまい、大学(学校)に良い人材が集まらない。師範教育大学でもメソドロジーを学ぶ機会は少なく、英語そのものを学習する傾向が強い(横井、2008)

1)。教員待遇向上と英語教員養成課程の充実が望まれている。次に、中国の大学自体の問題として、私大の増加に対する諸問題
2)がある。現在、私立大学が増加し、進学率も毎年上昇を続けている。国公立大学の統一入試に落ちた者が近年は大勢、私大へ入学しており、彼らは従来の「エリート養成型」の大学教育にはついてゆくことが難しく、結果的に養成目標レベルをダウンせざるをえない。そのため、高校卒業統一試験を強化し、質の確保を目指そうとしている(中島、2000)。また、利益優先主義の私大も増えてきており、容易に入学、卒業させ、就職できない学生を発生させており、その是正が優先課題となっている(21 世紀中国総研、2007:126)。

そして私大の増加とともに当然、大卒者が激増している。主として政府による大学入学定員倍増計画の結果、1998 年:108 万、2006 年:546 万と8 年間で5倍以上になっている(野口、2007)。急激な増加の結果、大学教育の質の低下が予想され、就職難に直面している学生たちが多い。これらの中でも大学教育のマス化を担う「私立大学」への対策が今後の中国の大学英語教育を左右するものであろうと予想される。

5. 考察

中国の大学生は1 冊にまとめられ統合された教科書を教員の指示に従い最大限に活用し、入試、そして在学中の統一試験に合格するために勉強している。これは、第一に世界一流の人材を多数育成するという国家目標達成のためである。それに沿って指導要領、カリキュラム、教科書が作成され、授業が存在するというトップダウン式の教育政策となっている。それは学習語彙量、教科書の厚さを見れば一目瞭然である。そんな彼らの学習成果はどのくらいのものなのであろうか。英語試験の点数だけで国際比較しても断片しかつかめないが、一つの指標としてTOEFL の得点を日中韓で比較してみると、中国人学生は比較的高い英語力を示している(Iwai、2008: 49)。国の規模、母集団数などを考慮に入れると単純比較はできないが、この結果は大学英語教育がある程度は成功しており、国策の通り強制的ではあるが基礎的な英語力はついていると言えるのではないか。

しかしながら、今までの大学英語教育は少数精鋭方式のエリート養成型で成功してきたが、私大も含め大学、大学生が増加している現在は、従来のやり方では限界に来ている。今後は中国バブルがはじけたとしても中国の経済成長が衰えることはないであろうから、やがて日本型の教育になってゆくと思われる。つまり、進学率はさらに上がるが教育費は成長に追いつかず、大学教育に占める私大の役割は日本並みに激増し、少数精鋭方式の今の大学教育は変わらざるを得ない、と思われる。言い換えれば、今迄のようなエリート養成型の「国公立を中心とした重点大学」と、日本のような一般大衆私大とに二分化するのではないかと予想される。そして学習指導要領は有名無実になるであろう。

よって今後、大学の一般大衆化にまでどのような発展があるかは注目すべき点である。とは言え、やがて日本並みに私立大学が増え、進学率も同じ状況になっても、英語を含めた学力は中国人の方が上であると予想できる。それは学歴、学力、そして英語力が経済的豊かさに直結するがゆえに高い学習モチベーションを保たせ、同時により豊かになりたいというハングリー精神が日本の大学生と格段に違うからである。

6.結び

終章では今まで報告して来た中国の大学英語教育が日本の英語教育改革等への参考になりえるかを考えたい。自国の教育が停滞していると諸外国の教育等が実態よりも過大評価されやすいと言われている。それらを参考とすべきかは慎重に判断するべきであろう。それでも教育の時間、量、質を重視した中国の少数精鋭方式は日本にも学ぶべき点があるのではないか。国際社会で活躍できる日本人を増やしたいのなら、まず、中学校で十分な英語授業時間を取り、基礎を昔のように徹底させ、それなりに時間をかけるべきである3)。そして中国のように徹底したトップダウン方式の強制力の強い学習指導要領を大学まで用意し、達成目標を確認する統一テストなどを設け、十分な時間と人材を使
って実行させる必要があるだろう。ただし、これを全国民に適用させる事は無理があり、その必要もなく、英語は高校、少なくとも大学では選択制にすればよいのではないか。外国語は確たるモチベーションがなければ身につかず、十分な学習時間も必要だからである。

やる気のある者を徹底的に鍛える「少数精鋭」方式にし、社会も英語力を十分に評価の対象とするべきであろう。「教育再生懇談会一次報告要旨」が2008 年5 月に発表された(東京新聞、2008 年5 月27 日)。英語教育に関連ある項目を拾うと、①小学校~大学まで各段階で到達目標を立てるという英語教育の抜本的見直し②中国、韓国などでは日本の語彙の2 倍以上あり、テキストの質、語彙数、分量を抜本的に向上させるとあるが、日本は中国と違いボトムアップ方式であり、授業時間数・教育予算・人的資源が少ないため、それらの条件が整備されるまでにどれだけ時間がかかるかは不明である。よって長期的な国家言語政策が必要である。
かつて日本の大学進学率が現在の中国並であった時代、日本の英語教育は現代中国の状況に似ていた点があった。今後、いつになるかは予測できないが、中国人が日本並みに大学へ進学するようになった時、中国の大学英語教育はどのようになるのであろうか。今後ともに注目してゆきたい。

注:
1 横井に加えて著者の中国大卒者(師範教育大学卒業)へのインタビューによる。
2 私大が増加しているが、学位授与権があるのはまだ一部である(白佐、2002 : 58)。また、高等教育への進学率も一昔の1桁代から毎年少しずつ増え続け、2007 年度では23%であり(中国総合研究センター、2007)、今後も上昇傾向がある。中国政府は2010 年で25%(人民網日本語版、2007)、2020 年で40%(菅原、2007)と予想している。また、教育費の高騰の課題もある。国公立も含め、奨学金制度の充実が求められている(Hu, 2005)。
3 新学習指導要領では中学校英語での学習内容、授業時間の増加が決定した(文部科学省、2008)。

参考文献

中国総合研究センター(2007)「高等教育」「ChinaResearch Center 中国総合研究センター」2008 年8 月11 日検索CRC/plan/
遠藤誉(2000)『中国教育革命が描く世界戦略』東京:厚有出版本名信行(2005)「大学英語教育の達成目標とその基準~中国を参考にして~」
JACET2005 年度全国大会全体シンポジウム配布資料本名信行(2007)「国家政策としての英語教育は可能か」
『英語展望 2007 年増刊号』No114.42-48 頁Hu, G. (2005). ENGLISH LANGUAGE EDUCATION IN CHINA: POLICES, PROGRESS, AND PROBLEMS Language Policy. 4. pp. 5-24.
市川研(2005)「高校、大学における英語教科書の分析-中国の場合-」『聖学院大学総合研究所紀要』34 48-65 頁
市川研(2006)「中国の高校、大学における英語教育の現状-アンケート調査を中心に-」『聖学院大学総合研究所紀要』38, 33-51 頁
井上裕子(2001)「中国の大学英語教育の実態」『北陸大学紀要』25. 197-208 頁
井上裕子(2002)「大学生・大学院生対象英語検定試験-中国の場合」『北陸大学紀要』26. 159-168 頁

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