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ハピネス [著]桐野夏生

[評者]楊逸(作家)  [掲載]2013年02月10日

Happiness 【著】桐野夏生

【评论者】杨逸(作家) 【刊登】2013年2月10日

微妙で複雑なママ友の世界

“妈妈好友团”微妙复杂的世界

有紗は、3歳になる娘と江東区の巨大な埋め立て地に建つタワーマンションの29階に住んでいる若いママ。離婚を迫るメールが届いたきり、連絡を断った夫の俊平は、アメリカに単身赴任中である。

有纱是一个年轻的母亲,和三岁的女儿一起住在江东区大型人造陆地的一栋高层公寓的第29层。丈夫俊平自从发来催促离婚的短信后就断绝了和她的联系,现在只身一人在美国工作。

「上からも下からも横からも前からも、あらゆるところから見られていて、空中に浮かんだ部屋にいる」という、まさに心身とも宙ぶらりん状態に陥っている中で、娘の幼稚園お受験という問題がさらに浮き上がる。何もかも決断しなければならないという人生の節目の時期だ。

“住在从上下左右前后所有地方都让人一览无余、浮在空中的房子里”,可以说身心都陷入空虚的状态,甚至在想着女儿幼儿园考试的问题……她现在正处于对一切事情都必须做出决断的人生阶段。

大きな不安を抱えながら寂しくて侘しい日々を過ごす、そんな彼女の頼りになるのは近所のママ友の存在だ。同じ3歳の女児を持つ5人のおしゃれなママ——一見小さなコミュニティーだが、家賃の違いなど微妙な差によって生じた上下関係や親疎の別をしっかりわきまえて成り立った付き合いなのだ。その複雑さと言ったら、どんな大きな集団にも負けないだろう。

心怀巨大的不安、过着孤单寂寞的日子。对于这样的有纱而言,近邻的妈妈好友们是她的依靠。她们是同样有着3岁女儿的5个时髦妈妈——乍看只是个小小的社区,彼此的往来却因房租的不同等细微差别而形成明显的上下等级关系、亲疏之别。其复杂程度想必不输于任何大集团吧!

我が子を名門幼稚園に入れようとするママ友とつりあうように、有紗は見えを張って嘘もついた。にもかかわらず、グループの中で「公園要員」という以上の存在にはなれない。引け目と敗北感に苦しみ、それに、ずっと胸の奥に仕舞っている秘密を仲の良い美雨ママに打ち明けようと、一緒に飲みに出かけたが、逆に思いもよらぬ衝撃的な告白をされてしまう。

为了与要把女儿送进贵族幼儿园的其他妈妈们保持一致,有纱打肿脸充胖子,甚至不惜撒谎。然而,她在这个群体里只不过是个“公园要员”(仅一同玩乐,随时都可能被边缘化的人)。有纱因自卑心理和挫败感而苦恼,和关系亲密的美雨妈妈相约去喝一杯,想向她吐露藏在心中的秘密。谁知反而遭致意想不到的打击。

「地に足着けて生きていくんだ」と願う有紗。離婚問題と公園要員のポジションに悩む彼女と、ママ友たちを、意外な結末が待ちうけている。

祈求“脚踏实地生活”的有纱。出乎意料的结局正等待着为离婚问题和“公园要员”的地位而烦恼的有纱和其他的妈妈们。

子持ちの私も昔、何度かママ友の集まりに加わったことがある。ママたちのたわいない会話とは裏腹に、なぜかいつも変にピリピリとした空気を感じていた。その空気を汲み取って生き生きと描ききったこの作品を読んでいくうちに、ママ友という独特な世界を初めて理解できるような気がしてきた。

有小孩的我以前也曾加入过几次“妈妈好友团”的聚会。妈妈们的闲聊背后,不知为何总有一种异样的紧张气氛。作者察觉了这一气氛,并将其生动地描写出来。通过阅读这部作品,我第一次真正理解了“妈妈好友团”这个独特的世界。

光文社・1575円/きりの・なつお 51年生まれ。作家。『東京島』で谷崎賞、『ナニカアル』で読売文学賞など。

光文社,1575日元。桐野夏生,1951年生,作家。凭借《东京岛》获谷崎奖、《有什么》获读卖文学奖。

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