卒業式の定番曲が入れ替わるなかで、この春「蛍の光」は何回歌われたのだろう。苦学を表す蛍雪(けいせつ)は貧しくて灯油を欠き、蛍の光や雪あかりを頼りに書を読んだ中国の故事による。いまどき照明不足で学べない子はいない。入学商戦の学習机は「目に優しい調光式」だという。

在毕业典礼上用的几首必选曲目的交替中,今春《萤之光》被唱了多少次啊。表示“苦读”意思的“萤雪”这个词来源于因家贫缺乏灯油,靠萤光雪光读书的中国典故。现如今已经没有因照明不足没法学习的孩子了。据说入学商战用的学习台灯都是“柔和的调光式”了。

光は正義に通じる。不正を白日の下にさらすのが善で、闇から闇に葬るのが悪。実際、世の中には一定の明るさを求められる状況が多い。8人が死傷した兵庫県宝塚市のカラオケ店火災を受けて、全国の自治体が同業者を立ち入り調査した。7割の店で違反が見つかり、誘導灯などに不備が目立った。

光明通往正义。将不正曝于白日之下则为善,由暗处掩埋至暗处则为恶。实际上,世上很多情况下都自然而然地追求一定的明亮。兵库县宝冢市的卡拉ok店遭受火灾引起8人死伤,全国的自治体对同业者进行介入调查。结果发现70%的店户违规,指示灯等不完备情况引人注目。

サッカーのJ1に初昇格した横浜FCは、本拠地の球技場が暗いと指摘された。照度がリーグ規定の1500ルクスに届かず、改修を要請されている。

初次升级为足球J1的横滨FC,被指责主场球场太暗。亮度达不到联盟规定的1500勒克斯,被要求修复。

しかし、都市の明るすぎる夜には異議もある。「暗くて、身体の動きも少ないが、しかし眠くないときがある。人間がものを考えるのはそういうときだ」「(輝く夜が)人に常に動き回ることばかりを強いて、じっと考える能力を喪失させた」(乾正雄『夜は暗くてはいけないか』朝日選書)。

但是,对都市的夜晚过度明亮也有异议。“黑暗下,身体的运动减少了,但也有时不想睡觉。这正是人们思考问题的大好时机”“明亮灿烂的夜晚只会迫使人们不断的活动,而丧失了安静思考的能力”(乾正雄《夜就不能黑吗》 朝日选书)

いくらでも光がほしいのは、避難通路やスポーツ施設のように「悩むより動け」の環境だろう。一般に、過度の明るさは沈思黙考を妨げる。

光亮多多益善的地方就是象避难通道、体育设施这样“与其头痛不如行动”的环境吧。一般来说,过度的明亮会妨碍沉思。

はっきりと見えなければ、あとは考えるしかない。集中と直感、想像力を、暗さが脳に要求する。思考が内に向かい、より本質に迫れることもある。夏に蛍が飛ばず、冬に雪が積もらない街では、そんな闇の効用を学ぶ機会も少なくなった。

如果无法看清楚的话,剩下的只有思考。黑暗向大脑要求集中和直觉、想象力。思考向内有时会更加迫近本质。在夏不飞萤,冬不积雪的街道,学习那黑暗效用的机会也变少了

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