毎年ながら、こんなに白に近いものだったかと思いながら見上げる。しかし白そのものではもちろんなく、花は、ほんのりと薄紅に染まって風にゆれている。

是否一如往年,今年(樱花)的颜色又几近于白?笔者寻思着抬头仰望。当然,并非就是那纯白之色,花儿,略带着微微的浅红,在风中摇曳着。

東京あたりではソメイヨシノ (染井吉野) が満開になった。新1年生を待つ無人の小学校の校庭で、あるいは思いがけない通りの角で、春本番を告げている。〈さまざまのこと思ひ出す桜かな〉。いつもながら、分かりやすすぎて憎いような、芭蕉の一句が浮かぶ。せかされるように、花びらを散らし始めた桜もある。

东京一带,染井吉野樱花已然盛开。在即将迎来一年级新生的无人小学校园中,亦或在不经意的通道拐角,都宣告着春天的到来。“引人思绪皆樱花”。一如往常,笔者心中浮现出十分简单而却很出色的芭蕉的一句俳句。仿佛被催促了一般,有些樱花已开始凋零。

3月の末日、明日からは新しい職場や学校に移る人も多いだろう。列島の至るところに、これまでの住まいを離れる多くの人と、それを見守る更に多くの人たちがいる。

今日是三月之末,明日起当有不少人前往新职场或学校吧。日本列岛,有许多人要离开长期居住之处,还有更多人要坚守于本地。

今年、「団塊」の世代の先頭の一団が還暦を迎えた。2007年問題などといわれて久しい。確かに、人口ピラミッドに特別大きな出っ張りを描きながら年を重ねてきた面 々 がまとまって去るのは、ことによれば大事(おおごと)かもしれない。

今年,战后高出生率的那一代人的最早一拨将率先迎来花甲。 2007 年问题人们已经探讨许久。的的确确,这问题在人口金字塔中这特别凸显,且他们随着年龄增长将产生越来越多的问题,这或许也算得上是件大事吧。

しかし考えてみれば、団塊などと一塊にしてみたところで、中身は一人一人別 々 だ。継承に悩む職場がある一方、重しが消えて風通しがよくなるところもあるのではないか。この団塊に限らず、人は人を、その属する集団や出身などの塊で見がちだが、個別のばらつきの方がはるかに大きい。それを、改めて知る春なのかもしれない。

但是试想,如果把这一代人作为一个整体看待,却发现他们实际上又分别是不同的个体。一方面烦恼着工作交接的问题,而同时又有卸下重担豁然开朗的一面。不单单是这一代人,人们很容易被当作自己所属团体或者出身的那个集团来看,而实际上这每一个个体他们的差别却是巨大的。或许,正是这个春天让笔者再次意识到了这一点。

唐の詩人が詠んでいる。〈年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず〉。私事で恐縮ながら筆者も今年が還暦。ご叱正(しっせい)、ご愛読に深謝しつつ、切りのいいこの年度末で、次と代わります。

唐朝诗人曾这样吟咏“年年岁岁花相似,岁岁年年人不同”。因个人原因笔者深感惶恐,然今昔亦已花甲。深深感谢众读者的不吝指正与厚爱,值此刚好告一段落的年末,(本栏目)将由下一执笔者执笔。


附:

明日から「天声人語」の筆者が交代します。04年4月から担当してきた高橋郁男論説委員に代わり、福島申二、冨永格(ただし)両論説委員が執筆します。

福島記者は主に社会部で多様なテーマの取材にあたり、編集委員も務めました。02年から3年間はニューヨーク特派員としてイラク戦争前後の国連や米大統領選を報道しました。50歳。

冨永記者は経済部と外報部の取材経験が長く、2度のブリュッセル勤務で欧州統合の最前線を伝えました。欧州には通算10年滞在し、04年から今年1月まではパリ支局長でした。50歳。

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