保険金などの多額の不払いがわかった生命保険各社へ、問い合わせや苦情が殺到している。不払いは計約25万件、総額284億円にのぼる。これはまだ、氷山の一角にすぎないそうだ。

拒付巨额保险金事件被曝光的各寿险公司门前,前来询问和交涉的人络绎不绝。被拒付的保单约25万件,总金额达284亿日元。据说这还只是冰山的一角。

★ふばらい【不払い】〔代金・賃金などを〕支払わないこと。ふはらい。「―運動」

★くじょう【苦情】自分が他から受ける損害や不利益などに対する不平・不満。「―を△訴える(受ける・取り扱う)/―が絶えない」[抱怨,意见;请求,要求;索赔,交涉]

保険会社が売るのは“安心”だ。「大樹」「堂堂人生」「生きるチカラ」……。各社の広告には頼もしげな商品名が並ぶ。だが、売るときだけ熱心で支払いは頬被(ほおかむ)り、では看板に偽りありだ。

保险公司卖的就是“安心”。“大树”、“灿烂人生”、“生活的力量”等,各保险公司广告中令人信赖的产品名称处处可见。然而只是在销售时热情似春风拂面,支付保险金时却欲抱琵琶半遮面,真是表里不一。

★ほおかぶり【頬被り】―する (一)〔人に顔を見られないように、また、寒さを防ぐなどのために〕手ぬぐいを頭から頬にかけて包むように被り、あごの下で結ぶこと。(二)知らない顔をすること。ほおかむり。ほっかぶり。「―のまま/―をきめこむ」

★看板に偽りなし 表里一致;名符其实

これを一字で表すなら、「欺」ではないだろうか。漢字研究の白川静さんによると、「欺」の「其」は四角い大きな仮面、「欠」は人が前に向かって声を出している形という。二つを組み合わせて、仮面を付けて人をだます意味に使われるようになった。広告は偽りの仮面かと、疑いたくもなる。

用一个字来表示就是“欺”吧。据说研究汉字的白川静说:“‘欺’字的‘其’是四方形的大假面,‘欠’是人朝前面说话的形状。”两个字合在一起,就表示戴着假面欺骗别人的意思。不禁怀疑,保险广告就是谎言的假面。

★しかくい【四角い】(形)四角だ。

気骨の経済人を好んだ作家の城山三郎(しろやまさぶろう)さんは、「もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界」で、戦中、戦後に第一生命社長を務めた石坂を描いた。のちに経団連会長となり、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで高度成長期の財界を率いた。城山さんは人物にひかれ、小説の題に、煮え切らない蔵相に石坂が投げつけた言葉をつけた。

喜欢有骨气的经济界人士的作家城山三郎在小说《再也不会相信你! 石坂泰三的世界》中,描写了二战时期和战后担任第一寿险公司董事长的石坂。他后来担任了经济团体联合会会长,直言不讳地说,他统帅了经济高速成长时期的日本经济界。城山很仰慕这个大人物,就在小说的书名上加上了石坂对优柔寡断的大藏大臣说的话。

★きこつ【気骨】どんな障害にも屈伏しないで、自分の信念を押し通そうとする強い気持。「―の有る人物」

★歯に衣(きぬ)着せぬ   相手に遠慮せず、思っていることをつつみかくさずに言う。へつらわずに率直に言う。「―物言い」[直言不讳;打开窗户说亮话]

★にえきらない 【煮え切らない】 (連語)考えなどがはっきりしない。あいまいだ。「―態度」「―返事」

経済活動に志がともなっていた時代が終わった――3月に城山さんが亡くなったとき、五木寛之さんは、朝日新聞に寄せた追悼につづった。そんな時代の、顧客を軽んじる企業のトップに、城山さんが心ひかれるとは思えない。

经济活动与远大理想结伴而行的时代结束了——3月城山去世时,五木宽之在朝日新闻上发表文章以示悼念。我想城山是不会仰慕这种时代(注:前句提到的)轻视客户的企业的董事长的。

各社の幹部は、「もう、きみには頼まない」という石坂の叱責(しっせき)が聞こえているだろうか。不払いの後始末だけは、頼まれてもらわなくてはなるまいが。

各保险公司的领导是否听到石坂先生的叱责——“再也不会相信你!”?拒付保险金事件的善后工作,必须要取信于客户……。

★あとしまつ【後始末】―する  (一)あと(の)かたづけ。(二)(他人の)不結果のあとを収拾すること。事後処理。「―を つける」

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