日本初の手品本は約300年前、江戸元禄期の『神仙戯術(しんせんげじゅつ)』とされる。手品研究家の平岩白風(はくふう)さんによると、明(みん)の書物を和訳したものだ。この本が紹介する「戯術」の種(たね)は、しみじみ素朴である。

一般认为日本最早的魔术书是大约300年前、江戸元禄时期的《神仙戯術》。据魔术研究家、平岩白風介绍,该书是从中国明朝的书籍翻译而成的。书中介绍的“戏术”的秘密,非常朴素。
 
例えば「勝手に動くひょうたん」。中に小さめのウナギかドジョウを入れておき、塩と胡椒(こしょう)を溶いた水を注いでふたをするだけだ。なにぶん仕掛けが天然素材だから、ひょうたんの動きが弱々しくなったところで幕だろう。魚がちょっと気の毒でもある。

例如,《自己会动的葫芦》一品。先在葫芦里放入小鳝鱼或小泥鳅,然后倒入溶有盐巴和胡椒的水,再加上盖子,仅此而已。因为装置用品都是天然素材,葫芦的摇晃变得微弱的时候魔术也就到头了吧,而且鱼儿们也着实有些可怜。
 
49人の手品師が在京の民放2社を相手に、計約200万円の損害賠償を求める裁判を起こした。硬貨を手品用に違法加工した事件の報道で、たばこがコインを貫通する仕掛けなどをばらされた、という。「種という手品師の共有財産が侵害された」と訴える。

49位魔术師起诉在京民间广播2局,提出了大约200万日元的损害赔偿请求。据说,该局在违法加工魔术用硬币事件的报道中,泄露了香烟穿透硬币等魔术的秘密。诉其“侵犯了‘秘密’这一魔术师共同的财产”。
 
だまされまいと舞台を凝視する客の前で、シルクハットからハトが出る、ウサギが出る。拍手をしながら謎解きに挑戦する人はいても、そのまま眠れなくなることはまずない。幻惑は、心地よい余韻を残して消えていく。

在目不转睛地盯着舞台以免上当受骗的观众面前,从大礼帽中变出鸽子,变出兔子。虽然有的观众一边热烈鼓掌一边极想解谜,但大致不会有因此睡不着觉的。在舒心的余韵缭绕中,迷惑逐渐消失了。

手品師と客の間には「これは芸」という暗黙の了解がある。だからこそ落ち着いて驚くことができる。「種も仕掛けもないのでは」と思わせたら、それはもう魔術のたぐいで、お客は落ち着かないだろう。

魔术师和观众之间有一种“此为艺术”的默契。正因为如此,观众才坐得住,并且感到惊奇。如果让人认为“看来并没有什么秘密”,那么,这已完全是魔术之流了,观众就坐不住了吧。
 
逆に、はなから種が割れていたら、演者の手際を追うだけの味気ない見せ物になる。転がるひょうたんより、中にいるウナギの身の上が気になり、やはり楽しめない。知りたくもあり、知りたくもなし。種との間合いは、このあたりがいい。

相反,如果泄露了秘密,就会成为一味地追求表演者技巧的无聊杂耍。比起会动的葫芦,更在意葫芦里的鳝鱼的话,这也是无趣的。既有想知道的,又有不想知道的。观众与秘密的关系,以此为宜。

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