南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島は、中国やベトナムなどが領有を主張して、紛争の海と呼ばれてきた。中国がこだわるのは、ここで高級食材の「ツバメの巣」がとれるからだと聞いたことがある。

南中国海的南沙(Spratly)群岛是中越两国领土主权有争议的地区,所有也被称为有争议海域。中国如此看重这里,据说是因为这盛产高级食材——“燕窝”。

真偽のほどは知らない。だが、海底資源より珍味が大事と、もっともらしく語られるのは、かの国の「食」への情熱のゆえだろう。足が4本のものは机以外、飛ぶものは飛行機以外なんでも食べる。そんな冗談もある中国でいま、日本産のナマコが大人気らしい。

真假不得而知。但是,与海底资源相比享受山珍海味更重要,最合逻辑的说法也许是源于整个国家对“吃”的一种热情。在中国有这样的笑话,四条腿儿的除了桌子,天上飞的除了飞机统统都能装进胃里。如今,日本产的海参在这里也大受欢迎。

たとえば、北京にある名店では、たっぷりのネギと香味野菜でナマコを煮込んだ料理が評判だ。中国通の同僚によれば、ナマコは客が自分で見て選ぶ。産地、等級別にずらりと並んでいて、最高級に日本からの輸入ものが鎮座している。それを、富裕層がこぞって指名する。

例如,在北京的知名餐馆里,海参加上十足的葱和香菜炖出的佳肴大受好评。听中国通的同事说,海参都是客人亲自挑选。按产地、级别一字摆开,最高级的是从日本进口的,可谓是镇店之宝。这些正是小资阶层所追捧的。

精がついて美容にもいいから、姿かたちは不気味でも値段は跳ねる。乾燥ものの日本からの輸出価格は、ここ5年で5倍ほどに高騰したらしい。うまい儲(もう)けに密漁船も暗躍する。生態がよく分からないため、取り尽くす心配も出てきているようだ。

填精益气、美容养颜之功效,所以样子虽其貌不扬可价格却很高。日本出口的干货价格,五年来竟翻了五翻。还有一些走私渔船通过巧妙地夹带在暗中活动。对生态现状不太了解,所以有种会被采光的担心。

〈何の故に恐縮したる生海鼠(なまこ)哉(かな)〉と漱石は、寡黙でつましい生き物を詠んだ。日本では料理でも地味な脇役だ。せいぜい酢ナマコか、このわたか。大陸へ渡ってひと花咲かせたような人気ぶりは、こちらのファンには少し寂しくもあろう。

“海参何故这样羞愧呢”,这是作家夏目漱石对这种沉默寡言、生活简单地生物的一种赞咏。日本料理中它则是少人问津的配角。无非是醋腌海参、盐腌海参。与大陆上红的发紫相比,日本列岛的粉丝们多少有些孤单吧。

旬は冬。「きわめて冷潔、淡美。肴品中の最も佳(よ)いもの」と江戸の『本朝食鑑』も讃(たた)える。少しナマコを見直して、食わず嫌いを改めるもよし。

应时冬天。“非常冷洁、淡美。是佳肴中的上品”这是江户的《本朝食鉴》所称道的。让我们重新审视海参,改变弃而不食的态度吧。