谷川俊太郎さんに「カーラジオの中のモーツアルト」という詩がある。詩人はラジオから流れる優美な調べを、楽しいドライブに一体化させる。〈記憶が流れ 心がはためき/今はもう私自身が音楽だ〉。

谷川俊太郎先生有一首诗,名为《旅途收音机中的莫扎特》。作品中,诗人将收音机中流淌出的优美旋律,融入到身心愉悦的驾驶之中。“回忆流淌 我心飞扬/此时的我与音乐融为一体了”。

心地よい旋律が突然途切れて、ラジオから「緊急地震速報」が流れる。急迫した場面に、これからは運転中に出くわすかもしれない。強い揺れが伝わる直前に地震の発生を知らせる「速報」が、来月1日から一般に提供されるからだ。

惬意的旋律嘎然而止,收音机中开始播放“紧急地震快报”。今后,遇有突发事件时,可能会发生上述情况。为了在强烈地震来袭之前,及时通报地震消息。下月1日开始,“快报”将被推广开来。

NHKのテレビ、ラジオのほか、一部民放も流すという。そのラジオでの放送を、案じる声がある。運転中の人があわてて、急ブレーキを踏みはしないかというのだ。あちこちで事故が起きては、「減災」どころか「加災」になってしまう。

以前,此类“快报”只在NHK下属电视台及之声播放。据说,此后要推广到部分民营之声。由此,引发了人们这样的担心:司机是否会因惊惶失措而紧急刹车,从而导致事故频发。如此一来,此举非但不是“减灾”,反而成为“加灾”了。

84年前のきょう、関東大震災が起きた。民衆には情報が届かず、「富士山が噴火した」といったデマに翻弄された。苦い体験が、2年後のラジオ放送開始を促したそうだ。いまや、揺れる前からの速報である。強い味方だが、パニックになっては台無しだ。

关东大地震,发生于八十四年前的今天。民众因没有收到相关消息,而被“富士山喷发”的传言玩弄于股掌之间。此番惨痛经历,促使之声于两年后开始播报情。进而形成了目前就要开始推广的震前快报。我对此举双手赞成,但是,如果就此引发民众恐慌,也会使得局面难以收拾。

世の中には、「知らせない」という安全策もある。たとえば、ある旅客機は、離陸寸前にトラブルが起きても、安全高度に上がるまで警報音が出ない。ミスの許されない場面で操縦士を動揺させないためらしい。

社会上也流传着一种所谓“不予通报”的安全策略。比如:某民航班机,在起飞的一瞬间,即使发生状况,为了不干扰飞行员的操作判断,也是不会发出警报音的。除非它已经上升到了一个安全的高度。因为起飞瞬间,不容丝毫闪失!

だが、やはり「速報」はありがたい。あわてず騒がずハザードランプをつけ、ゆっくりと脇に寄せて止める。これが基本動作である。モーツァルトを楽しみつつも、心に備えを。常在戦場の教えも、地震国には大げさではない。

但是,我们还是要对“快报”说声谢谢。当您听到它时,请不要惊慌,而需要完成一系列基本动作:开启双闪灯、放慢车速、停靠路旁。在欣赏莫扎特的同时,也应做好心理防范。对于日本这个地震之国,警钟长鸣的教诲并不过分。