きのうの朝、風雨激しい住宅街を歩いた。道に色々と落ちている。ちぎれ飛んだ緑の葉に、サルスベリが散らした薄紅の花。ひしゃげて裏返ったビニール傘は、持ち主を送り届けて、あるいは道半ばで力尽きたのか。30本まで数えてやめた。

昨天早晨,狂风暴雨。走过住宅区,路面上散落着各种各样的东西。绿叶飘零;紫薇花落到地上变为了淡红色。那些用来送主人走上一程的、皱皱巴巴的折叠伞也许是走到半路便已筋疲力尽了吧。我数到第三十把,便就此作罢了。

台風9号は、朝夕のラッシュ時に首都圏を直撃した。ニュースの映像では、透明な傘が風雨と苦闘していた。大荒れになると分かっている日こそ、使い捨て覚悟のビニール傘が重宝がられるのだろう。テレビの気象予報士も1本握りしめていた。

台风9号直扑东京附近地区,时间正值早晚上下班高峰。从电视画面上看,透明的伞儿们和风雨交战正酣。人们只有在得知有暴雨来袭的日子里,才会将这些原准备用一次就扔掉的塑料伞当成宝贝吧。电视中的气象预报员手中也紧紧地握着一把呢。

上や横から来るものは安い傘でもしのげるが、足元から忍び寄る水は厄介だ。東京では多摩川が危険水位を超え、世田谷区の740世帯に避難勧告が出た。

不管这把伞有多便宜,它总还可以帮你遮挡一下来自头上和侧面的东西。但是,从脚下慢慢偷袭而来的水可就麻烦了。东京多摩川地区已超警戒水位。世田谷区740户动迁。

そのころから、堤防の内側では30人以上が河川敷などに次々と取り残され、何人かは濁流に消えた。増水する川で、いったい何をしていたのか。実はそこが住所だった。河川敷には路上生活者のテントがたくさんあり、ビラや拡声機で避難を促したが一部が逃げ遅れたらしい。

此后,堤防里面的三十多人却被落在了河岸等几个地区。其中几人就此消失在了浑浊的水流之中。河水暴涨之时,那些人到河边去干什么呢?实际上,他们就住在那里。河岸地区有很多流浪者搭建的帐篷。虽然有人通过发放传单及扩音器催促他们避难,但好像还是有一些人撤离晚了。

格差が広がる大都市の底に、情報の海から孤立して暮らす人々がいる。約600人とされる多摩川の民もそうだ。彼らの「家」は、流されても被害統計には載らない。社会の最も弱い所を天災は正確に突いてくる。

在信息的海洋中,有些人是被孤立在外的。他们生活在差距无所不在的大城市底层。约有600人口的多摩川民众就是如此。即使他们的“家”被冲走,也是不会被记入受灾数据之中的。天灾却总会准确无误地指向这个社会中最不堪一击的地方。

台風の季節は続く。今回は、走る電車の窓ガラスが割れ、路上の信号機の支柱が折れるなど珍しい被害が出た。そしてホームレスの大量救出劇。都市型災害が新たに残していく貴重な教訓を、ビニール傘のように使い捨てるわけにはいかない。

台风时节还在接续。此次,还出现了一些罕见的事故:行驶中的公交车窗被打破;路边的红绿灯柱被折断。而且,也上演了救出大批无家可归者的一幕。这些都是新型都市灾难留给我们的宝贵教训,可不要将它们视为塑料雨伞,用一次就丢掉呦!