渡り鳥の飛来で知られる宮城県の伊豆沼と内沼を先ごろ、寒波の厳しかった日に訪ねた。低い空から湧(わ)くように雪が降り、末枯(すが)れた野山を白く染めていた。水面は寒々と波立っている。土地の人によれば、例年より早い冬景色らしい。

先前,我冒了严寒,造访了宫城县的伊豆沼和内沼,那是因候鸟飞来度冬而闻名遐迩的地方。雪花如同从低空往上涌起般,将萧索的野山染成一片苍白。沼泽的水面上,冷冷的泛起粼粼波纹。从当地人口里得知,冬日似乎比往年来得更早。

ハクチョウは優美だが、列をなして飛ぶマガンは感傷を呼びさます。古来、雁(かり)とも、かりがねとも呼び習わされてきた。二つの沼への飛来は、今月初めに計6万羽を超えたそうだ。遠くカムチャツカなどから渡って来るマガンの8割強が、ここで翼を休め、春を待つ。

白鸟虽优美,然成队飞翔的大雁更易勾起人的感伤。古代,有习惯将雁称为鸿雁,也有成为『胡雁』。飞来此二沼的大雁,据说此月初,总数超过6万只。8成以上从遥远的Kamchatka等地飞来的大雁,在此收拢羽翼,等待春天的到来。

〈今日からは日本の雁ぞ楽に寝よ〉。弱いものへの慈しみを詠むことの多かった江戸期の俳人、小林一茶は、けなげな旅を労った。現代人にも共通する思いだろう。だが「楽に寝られる」所は、減り続けているのが実情らしい。

“今日始见日本雁,夜晚可得安乐眠”。其为数众多的俳句多是咏叹对弱者的慈悲的江户时期俳人-----小林一茶,曾作诗慰劳大雁那豪壮的旅行。与现今的人们而言,不也是相同的念头吗?然而关于『安乐眠』之处,其实情却似乎是在不断的减少。

かつては、関東などにも分散して冬を越していた。しかし開発で自然が損なわれ、伊豆沼周辺に集中するようになった。「ここの飛来数ばかり増えるのは、望ましいことではないのです」と、現地を観察して13年の嶋田哲郎さん(38)は言う。

曾几何时,大雁也分散于关东等地越冬。然而由于开发,自然环境遭受损害,如今都逐渐集中到伊豆沼周边地区。『飞临此处的大雁数目增加,并不是我们期望的事情啊』在现地观察13年的嶋田哲郎先生如此说道。

13年前は2、3万羽だった。いまや2倍を超す。日の出を待って一斉に飛ぶ「総立ち」は、感動的でもある。とはいえ、ほかの越冬地の環境悪化が背景にあるのなら、喜んでばかりもいられない。

13年前,这里不过区区2,3万只大雁。如今却超过2倍。等待日出一齐振翅的『启程』是极其感动的瞬间。虽说如此,念及其他的越冬地环境恶化的背景,内心涌起的不只是喜悦了。

秋の空に飛来する雁は、古くから、懐かしい人の消息をもたらす使いだとされてきた。手紙のことを「雁書(がんしょ)」と呼ぶのは、それゆえだ。ひと冬のねぐらに事欠くのでは、風流の使者たちに申し訳がない。

与秋空飞来的大雁,自古以来,就被作为向思怀的故人传达相思信使。将信件称为“雁书”,正是缘由此说。今年冬季没能为大雁提供周到的栖身之所,在这里向风流的使者们说声:“准备不周,还望见谅”。