优胜奖

「わたしと日本」

王珺(华中师范大学)

なかなか言葉で表現できないのが縁というものです。私が日本と出会ったことがまさにその通りです。

日本とのつながりは、日本の文房具への関心から始まりました。一つの日本の映画から話を始めたいと思います。日本の映画「ビリギャル」が中国で上演されたとき、あまり人気がありませんでした。しかし、映画に出てきた様々な面白い文房具が中国で流行するようになりました。まさに日本の文房具の総動員といえます。様々なノートやペンなどの文房具を見たとき、あまりにも可愛くて、目線がスクリーンから離れられなくなりました。映画を見てから、日本の文房具に夢中になりました。日本の文化を知るようになったのもそのころからです。

日本は、不思議な国です。小さな文房具でも、奇抜なアイデアを入れ込んでいます。日本人は生活でデザイン感と人間性と実用性を求めています。それらが日本人の長所の一つです。素晴らしい物事は人々の平凡な生活にいつも刺激を与えてくれたりします。その物事を静かにみているだけで心が癒されます。ちょっとしたひと手間、あるいはちょっとしたデザインを加えるだけで、使っている人の心を幸せで満ち溢れるようにするのが日本の「職人の精神」ではないかと思います。

「ビリギャル」を見てから、映画を通じてではなく、直接日本を体験したくなりました。

幸運にも今年の夏休みにその機会に恵まれました。日本に滞在したのは数日だけでしたが、この国で私のパラダイスを見つけました。それは文房具屋です。本当に天国のようで楽しいひと時を味わいました。私たちの町にもこのような場所があったらどんなにいいだろうと思いました。一日の仕事が終わって家に帰る途中、文房具屋に寄ります。仕事での悩みなど全部忘れて、心を安らぎます。遠くに行かなくても、旅行する気分になります。

近年、電子製品の普及により、文房具の存在と販売に大きな影響が及んでいます。日本は情報化と電子化が進んでいる国です。しかし、日本の文房具はほかの国のように電子製品に押されることはありません。むしろ、文房具がとてもいいといううわさがネットで広がり、世界各国の人々が日本に訪れるとき必ず買うものになりました。例えば、日本で生まれたパイロットの消せるペンは観光客が必ず買う文房具だと言っても過言ではありません。デパートや空港、どこでも買えます。初めて消せるペンを使った時の衝撃は、今でも覚えています。ボールペンで書いた文字が消せるという奇想天外な発想は今まで考えたこともありません。しかし、その逆手を取ることで大成功したのです。このようなアイデアは偶発的だと考える人がいるかもしれませんが、私はそう思いません。パイロット会社は成立してから、ずっと文房具だけを集中して開発し、販売してきました。一つの商品を恐ろしいほどよく知り、また、それを使っている人々の需要をよく理解しているからこそ、成功した商品を開発することができたのではないでしょうか。

情報化が進んでいる今現在、儲かるといううわさが立つ領域にみんなぞっこむ傾向があります。「金儲け」という考えだけでは、自分を貫くことができません。信念がなければ、すぐ時代の波に飲み込まれます。パイロット会社の「書くという文化を次世代に伝えるために」というモットーを見ると、すぐそれがわかります。

現在の中国では、一攫千金の企業も多いですが、すぐつぶれる会社も少なくないです。私たちが足りないのはまさにこのような信念ではないかと思います。このような信念を持つことにより、金儲けだけでなく、お客様の立場から物事が考えられるのではないでしょうか。

日本の文房具に対する愛はこれからも深まっていくでしょう。しかし、私が本当に願っているのは、このような日本企業の「職人の精神」を中国の企業にも伝え、今よりもって精工で美しい本国の文房具を見ることです。日本の文房具だけでなく、中国の文房具、世界各国の文房具が並んでいるグローバル文房具屋さん。旅に出なくても世界を感じることができる文房具屋さんが身近にあったら、どんなにいいでしょう。

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