玲瓏、
明透、その
文、その
質、
名玉山海を
照らせる
君よ。
溽暑蒸濁の
夏を
背きて、
冷々然として
獨り
涼しく
逝きたまひぬ。
倏忽にして
巨星天に
在り。
光を
翰林に
曳きて
永久に
消えず。
然りとは
雖も、
生前手をとりて
親しかりし
時だに、その
容を
見るに
飽かず、その
聲を
聞くをたらずとせし、われら、
君なき
今を
奈何せむ。おもひ
秋深く、
露は
涙の
如し。
月を
見て、
面影に
代ゆべくは、
誰かまた
哀別離苦を
言ふものぞ。
高き
靈よ、
須臾の
間も
還れ、
地に。
君にあこがるゝもの、
愛らしく
賢き
遺兒たちと、
温優貞淑なる
令夫人とのみにあらざるなり。
辭つたなきを
羞ぢつゝ、
謹で
微衷をのぶ。
昭和二年八月
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