日本語で外来語が多いのはなぜですか。他の言語では,外来語をどのように取り入れていますか。

日语为什么有这么多外来语呢?其他语言是怎样引入外来语的呢?

カタカナでどう書くかさえ決めればよい

只要确定片假名写法就能使用外来语

先ごろ日本で,女性用履物として「ミュール」というのがはやりました。これは英語またはフランス語の「mule」からの借用なのですが,日本語ではこの語を,どういう音の形で受け入れるか(言い換えればどういうカタカナで書き表せばいいか)ということさえ決めれば,それだけでこの語が使えてしまいます。

前段时间日本很流行女性用拖鞋“ミュール”,这个词是借用了英语或法语的“mule”,只要确定了日语中这个词的音(换句话说就是片假名写法),就能使用这个词。

しかしフランス語に日本語の「下駄げた」が借用されたときには,そう簡単にはいきませんでした。フランス語をはじめとする多くのヨーロッパ語ではすべての名詞が「性」を持っており,どの性に属するかによって,その名詞を修飾する形容詞の形や名詞を受ける代名詞の形が違ってきます。このため外来語でも性が決まらなければその語が使えないのです。

但在法语中却很难借用日语“下駄げた”这个词。以法语为代表的大多数欧洲语系中所有名词都有“词性”,表示这个词的性质,修饰名词的形容词和指代名词的代名词形式是不一样的,因此如果不确定外来语的词性是无法使用这个词的。

外来語をはじめとする新語の性は,その単語が使われているうちに何となく決まっていくものなのですが,名詞の性を決めるための必然的な手掛かりというものがあるわけではありません。今でもフランス語では,下駄は男性が履くもの,というイメージが強いために男性扱いとされたり,ラテン語で-aで終わる単数名詞はほとんど女性名詞,という理由から女性扱いとなったりと,共通認識はまだ得られていないようです。

一般来说在使用单词的过程中,以外来语为代表的新词词性会渐渐固定,但决定名词词性也没有固定模式。现在法语中对“下駄”这个词还颇有争议,有人因木屐是男性用的,认为“下駄”这个词该由男性使用,有人则因拉丁语中以-a结尾的单数名词多为女性名词,认为这个词该女性使用。

また言語によっては,品詞(名詞,動詞,形容詞,といった,文法的機能による単語のグループ分け)ごとに固有の語尾が決まっており,外国語から単語を取り入れる際には,その単語がその語尾で終わるよう,語形そのものを調整しなければならないこともあります。例えばロシア語では,形容詞は-ɨj(-ウィイ)という語尾を持つことに決まっているので,フランス語から「serieuxセリユー」(重大な,深刻な)という形容詞を借用したときには,これを「serijoznɨjセリヨーズヌィイ」という形に変形しなければなりませんでした。原語の基本の形をそのまま素直に受け入れればいい日本語に比べ,随分ややこしい変形をしていることが見て取れると思います。

而且有的语言不同词类(名词、动词、形容词等按照语法功能划分单词)都有固定的词尾,在引入外来语时,必须按照词形调整单词词尾。例如,因为俄语中形容词固定使用“-ɨj”的词尾,当从法语引入“serieux”(重大的、深刻的)这个形容词时,需要变形成“serijoznɨj”。比起日语直接引入原语言基本形,这种引用方式的变形真的很复杂。

単語の「意味」は分からなくても「機能」は分かる

即使不明白单词的“意思”也能明白“功能”

一方ではタイ語のように,単語が基本的に語形変化しない言語もあります。この種の言語で単語の文法的機能は,もっぱら語順と文脈によって決まります。例えば「行く」という動詞の後ろに「乗り物」を表す名詞が来ていれば,その名詞は「手段(~によって)」という機能を持ち,「場所」を表す名詞が来ていれば,それは「目的地(~まで)」という機能を与えられるのです。こうした文法的機能は,形の上では表現されません。

但有的语言的单词基本不进行词形变化,例如泰语。这种语言的单词语法功能主要依靠语序和上下文决定。例如,在“行く(去)”动词后接表示“乗り物(交通工具)”的名词时,这个名词就有“手段”的功能,当接表示“场所”的名词时,此名词就有“目的地”的功能。这种语法功能没不会具体表现出来。

こういう言語では,語形変化がない分,外来語を取り入れるのが楽であるように思えます。しかし実際はそうでもありません。こうした言語において単語の文法的機能は,「その単語の意味と,周りにある単語の意味との関係」によって決まります。ですから,文中に外来語のような意味の分からない単語があると,その単語が周囲の語とどういう文法的つながりを持っているのかが分からなくなり,結果として文全体の構造もとらえにくくなってしまう可能性が高いのです。

因为没有词形变化,这种语言在引入外来语时看起来比较轻松,但其实并非如此。这种语言中单词的语法功能依靠“单词意思、与周围单词意思间的关系”来决定。因此,当句中有不懂意思的外来语或单词时,就会不知道这个词是否与周围词有联系,结果很可能不明白整句话的结构。

ひるがえって,日本語はどうでしょう。日本語は,単語そのものは語形変化せず,単語に助詞や接辞などを直接張り付ける,というやり方によって文法的機能を表示します。ですから,仮に単語自体の意味は分からなくても,「○○して」のように,単語の後ろに「する」の変化形が接続していれば,それ全体で動詞としての働きを持っていることは分かりますし,「△△な」であれば形容動詞として使われていることは明らかです。「××は」「××を」のように,単語に助詞が直接接続していれば名詞であることが分かり,さらに,その単語が文の主語なのか,動詞の目的語なのか,という「文中での機能」も一目瞭然です。

那日语是怎样的呢?日语单词本身不会发生词形变化,直接在单词后接助词、后缀等表示语法功能。因此,即使不明白单词本身的意思,也能明白单词的功能,例如,“○○して”是单词后接“する”变形,就能知道单词是动词,“△△な”就能知道是形容动词。如果是“××は”“××を”单词后直接接助词,就知道单词是名词,而且单词是句子主语还是动词目的语这种“句中的功能”也能一目了然。

このように,「単語本体と,文法的機能を表す部分とが分けて表現される」という日本語の文法的特質は,外来語をはじめとする「新語」の受け入れにおいては大きな効力を発揮します。一般にどの言語でも,名詞が最も借用しやすく,その他の品詞が借用される例はそう多くはないのですが,日本語では「グローバルな」のような形容動詞,「アクセスする」のような動詞も取り入れることができていますし,またそのような借用を行っても,文の構造は明瞭に表現され得るのです。

在引入以外来语为代表的“新词”时,这种“单词本身与表示语法功能的部分分开表现”的日语语法特性发挥了很大作用。一般来说,任何语言都是最常借用名词,其他词类较少,但日语中却可以引用“グローバルな”等形容动词、“アクセスする”等动词,而且即使借用后句子结构也十分清晰。

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