关键词:若い侍(さむらい) 易者(えきしゃ)
むかしむかし、ある村に、おばあさんと美しい娘が二人で暮らしていました。  ある年の田植えの季節に、おばあさんは町へ買い物に出かけました。  帰りに田んぼのあぜ道を歩いていると、ヘビがカエルを追いつめて、今にも飲み込もうとしています。 「これこれ、何をする。許しておやり。欲しい物があれば、わしがやるから」  カエルを可愛そうに思っておばあさんが言うと、ヘビはおばあさんの顔を見上げながら言いました。 「それなら、娘をわしの嫁にくれるか?」  おばあさんは、ヘビの言う事などとあまり気にもとめずに、 「よしよし。わかったから、カエルを逃がしてやるんだよ」 と、返事をしてしまったのです。  すると、その年の秋も深まった頃、若い侍が毎晩娘の部屋へやって来て、夜がふけるまで娘と楽しそうに話していく様になったのです。  そんなある日の事、一人の易者が家の前を通りました。  おばあさんは易者を呼び止めると、娘には内緒で毎晩の様にやって来る若い侍の事を占ってもらいました。  すると易者は、こんな事を言いました。 「ほほう。  その若い侍の正体は、ヘビじゃ。  ほうっておくと、娘の命はなくなる。  娘を救いたいのなら、裏山の松の木にワシが卵をうんでおるから、その卵を侍に取ってもらって娘に食べさせるんじゃな」  おばあさんはビックリして、この話を娘にしました。