米アップルは29日夕(日本時間30日朝)、米国内で新しい携帯電話「iPhone(アイフォン)」を売り出した。携帯音楽プレーヤー「iPod」機能つきで、パソコンの主要機能も備え、操作ボタンがなく画面に触れる方式。その目新しさが注目を集め、発売前から全米各地で行列ができ、高い人気をみせつけた。

 発売は全米各地の午後6時。米国内の時差に合わせ1時間ごとに東部から西海岸へと順次発売が始まり、その様子を米テレビ局が中継した。

  最も早く発売された東部地域のニューヨークでは、目抜き通りの5番街にあるアップル直営の旗艦店に500人以上が列をつくった。徹夜で並んだニューヨーク市内の会社員ケスー・ジェームズさん(29)は「今まで見たこともない最高の携帯電話だ」と興奮気味。

  iPhoneは、インターネットを通じてダウンロードした音楽やテレビ番組、映画などの再生ができる「iPod」の機能がついている上、ネット検索などのパソコン機能もある。「スマートフォン」と呼ばれる多機能携帯電話の一種だが、人気の秘密は操作ボタンやキーボードをなくした斬新なデザインにある。

  3・5インチのワイド画面上に表示されるアイコンや文字などに指を触れて操作する。人さし指を画面上で滑らせると、登録した音楽や電話番号のリストが次々に出てくる。価格は容量4ギガバイトの機種が499ドル(約6万1000円)、8ギガバイトが599ドル(約7万3000円)。通信網は、提携先の米通信大手AT&Tを使う。

  アップルは今年後半には欧州で、08年にはアジアでも発売する計画だが、日本での発売時期は未定。日本の通信方式は欧米と違うため日本仕様に作り直す必要がある。日本でもiPodのように人気を呼ぶ可能性は高く、どの通信会社と組むかが注目されている。

写真(1):アップルが全米で6月29日に発売したiPhone=アップル提供

写真(2):ニューヨーク市内のアップル直営店で29日、iPhoneを手に入れ興奮する客を拍手で送るアップルの従業員たち=AP 「」