日本人の誇り [著]藤原正彦
[文]佐々木俊尚(ジャーナリスト)  [掲載]2011年05月29日

日本人的骄傲 [著]藤原正彦
[文]佐佐木俊尚(记者)  [刊登日期]2011年5月29日

震災で浮上する懐古的保守

震灾中浮现的怀旧主义

日本人がいま、たいへんに誇りを傷つけられているのは事実だ。震災直後に「冷静に事態に立ち向かう国民」と海外から称(たた)えられたのはほんの一瞬で、安全神話は崩壊してしまった。そういう中で、大ベストセラー『国家の品格』の著者が『日本人の誇り』というきわめて直球の本を出してきたのだ。多くの人が飛びつかないはずがない。

事实上,现在的日本人荣誉受损。震灾之后,被海外称赞为“冷静直面严峻事态的国民”也只是一刹那,安全神话彻底瓦解。与此同时,以《国家的品格》大畅销的作者打出了一张极为直接的牌——《日本人的骄傲》,引来很多人争相阅读。

本書の大半は、太平洋戦争をはさむ昭和史の再検証に費やされている。戦前の「個より公」「競争より和」を重んじた日本人の国民性は世界に冠たるものだったのにも関わらず、戦後はその尊さを失ってしまったと著者は説く。しかしその検証は、たとえば一昨年の名著『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子著)が実に冷静に地政学的観点から昭和史を分析していたのと比べれば、あまりに戦前日本を美化しすぎているように見える。また、ケータイ病におかされた子供たちは世界で最も勉強しないなどという現状認識にもちょっと閉口させられる。何しろ今の日本は政治も経済もモラルも教育も家族も社会も崩壊して、全面的な崩壊に瀕(ひん)しているとまで言い切るのだ。

本书主要内容是对写下太平洋战争的昭和历史的重新验证。作者认为,战前尽管世界冠于日本的国民性为重视“无私奉公”、“与世无争、以和为贵”,战后日本却完全丧失了这种尊贵。比起前年的名作《即使如此,日本人还是选择了战争》(加藤阳子著)冷静地从地理政治学的观点分析昭和历史,这次验证对战前的日本进行了过度的美化。此外,对“手机病”儿童逃避学习的现状也闭口不提。不管怎样,现在的日本无论是政治、经济、伦理,还是教育、家庭、社会,都可以说是面临着全面崩塌。

だから仏教や武士道に即した秩序や和を尊ぶ昔に戻れ、というのが著者の主張だ。典型的な伝統的保守論者の言い分だが、しかしこの本は意外にもインターネット上などでは好意的に書評されている。

因此,作者主张回到遵循佛教&武士道秩序、崇尚“和”精神的时期。虽说这是典型的传统保守主义者的言论,这本书却在网络博得了善意的评价。

誇りが傷つけられ、日本全体を復興していかなければならない時代状況。パラダイムシフトが起きるであろう中で、その軸を求める動きはこれから活発化するだろう。本書のような「昔に帰れ」という懐古的保守の軸もあれば、新自由主義の軸も復活してくるだろう。さまざまな議論が今後入り乱れて新たな日本を考えていくスタート地点。本書もその題材のひとつとなっていくのかもしれない。

荣誉受损,日本全体已经到了必须复兴的时代。在是否发起思想革新的同时,寻求此核心的动向也会更加活跃。若存在书中“回到过去”这种怀旧保守的轴心,新自由主义的轴心也是会复活的吧。它将成为思考各种论调粉墨登场的新日本的开始之地。本书也许会成为其题材之一。

声明:双语文章中,中文翻译仅代表译者个人观点,仅供参考。如有不妥之处,欢迎指正。