１４０８年、４５歳の時に義満が死去し、４代将軍義持の治世に。義持は猿楽能よりも田楽能（豊穣を祈り笛鼓を鳴らす賑やかな歌舞）を好み、その名手?増阿弥を寵遇した。増阿弥の持ち味は賑やかであるはずの田楽の中で、尺八を使う「冷えたる能」。尺八の渋い音色は舞を“冷えに冷えた”美にした。都は増阿弥が主催した公演ばかりになり、世阿弥の出番が減ってしまった。しかし、世阿弥の長所は柔軟さにある。彼はこのライバルを妬むことなく、「花」を生み出す幽玄美が、高められたところにあるものが「冷えたる美」と悟り、増阿弥から「冷え」を学んだ。このように世阿弥の芸は生涯にわたって高め続けられた。また、立ち止まって能という芸の深さをじっくり考える時間ができたこともあり、能楽論を次々と執筆していった。

1408年，45岁的足利义满去世，4代将军足利义持执政。义持喜好田乐能更甚于猿乐能，厚遇田乐的名家增阿弥。增阿弥的田乐以欢快喧闹的风格著称，其中包括使用尺八的“冷能”。古雅的尺八音色，给舞蹈染上一层“冷寂”的美。京城到处是增阿弥举办的演出，世阿弥的出场愈发减少。然而，世阿弥的优点就在善取各家之长。他并不嫉妒这个对手，反从增阿弥那里学到了“冷寂”，绽放出“花”的幽玄美再经升华，那里产生的正是一种“冷寂的美”。如此，世阿弥一生的技艺都在不断得到提升。而有时候，他也会暂停脚步，仔细思考“能”这一艺术的意义，陆续创作出能乐的论著。

世阿弥は自分が父から観世座を受け継いだ年頃に長男?元雅がなったことから、６０歳で出家し、元雅を第３世観世大夫に指名した。そして能作書『三道』を次男に、１４２４年（６１歳）には元雅に能楽論秘伝書『花鏡（かきょう）』を送り、そこに「初心忘るべからず」「命には終わりあり、能には果てあるべからず」「ただ美しく柔和なる体、これ幽玄の本体なり」等の言葉を刻んだ。この年の醍醐寺清滝宮の猿楽能では２人の息子と甥の音阿弥（世阿弥の弟の子）の３人が共演するなど、後継者に恵まれて穏やかに隠居生活を送っていた。

由于长子元雅到了世阿弥从父亲那里继承观世座的年龄，60岁的世阿弥指名其为第三代观世大夫，自己皈依佛门。此后他将能作书《三道》传给次子，1424年（61岁）将能乐论秘传书《花镜》交给了元雅，其中有“初心不可忘”、“命有终，能不可有终”、“唯优美柔和之体，乃幽玄之本体”等话语。这一年的醍醐寺清泷宫猿乐能表演中，世阿弥的两个儿子和外甥同台演出，他在这些后继者的围绕下安静地过着隐居生活。

１４２８年（６５歳）、義持が他界すると６代将軍義教が就任した。ここから世阿弥の人生はどん底まで沈んでいく。義教は兄弟の義嗣と仲が悪かったので、義嗣に気に入られていた世阿弥を嫌い、また能役者も世阿弥よりも音阿見を好んでいたので、世阿弥に露骨な迫害を加え始めた。

1428年（65岁），足利义持去世，6代将军足利义教上任。从这以来，世阿弥的人生跌进了谷底。义教和兄弟义嗣的关系不佳，因而很讨厌为义嗣欣赏的世阿弥，又因在能乐表演者里他更喜爱音阿弥，对世阿弥的迫害就更是变本加厉了。

６６歳、世阿弥親子は突然御所への出入りを禁じられ、翌年には元雅が猿楽主催権を奪われ、義教はそれを音阿弥に与えた。こうした事態から未来に希望を失った次男は猿楽師を辞めて出家してしまう。

66岁时，世阿弥父子突然被禁止出入御所，次年元雅被剥夺了猿乐的举办权，义教转而将其给予音阿弥。因为这一连串事件，次子失去对未来的希望，抛弃猿乐出家为僧。

１４３２年（６９歳）、元雅は都での仕事がなくなり地方巡業に出て、旅先にて３２歳の若さで病没する。元雅の遺児はまだ幼児で観世家を継げず、観世座は崩壊した。世阿弥は元雅のことを父観阿弥を超える逸材だと思っていただけに、この死は耐え難いほど辛いものだった。しかも義教は世阿弥に後継者がいなくなったことを理由に、音阿弥に観世４世家元を継がせることを強要してきた。世阿弥は大和で大活躍していた娘婿の金春禅竹（２８歳）に４世を譲るつもりでこれに抵抗したところ、将軍に謀反した重罪人として逮捕され、実に７１歳という高齢で佐渡に流されてしまう。１４４１年、暴政を行なった義教が守護大名の反乱で暗殺されると、一休和尚の尽力で７８歳になっていた世阿弥の配流も解かれ、娘夫婦の元に身を寄せ８０歳で亡くなった。

1432年（69岁），元雅在因京城难以为继，前往各地巡演，年仅32岁病逝于旅途中。元雅的遗子年尚幼冲无法继承观世家，观世座于是败落。世阿弥认为元雅是超越父亲观阿弥的俊才，对他的死痛不欲生。然而义教竟以世阿弥无后继者为理由，强迫他把观世家让给音阿弥继承。与之对抗，世阿弥打算将第四代继承人让给在大和地区具有盛名的女婿金春禅竹（28岁），成为违逆将军的重罪人遭到逮捕，当时已71岁高龄的世阿弥被流放到佐渡岛。1441年，因多行不义的义教在守护大名的叛乱中被杀，又得一休和尚的竭力帮助，78岁的世阿弥被解除了流放，同女儿夫妇居住在一起，80岁时去世。

《井筒》

現在、能の演目は全部で２４０番。このうち確実に世阿弥の作品だと判明しているのは『高砂』『忠度』『実盛』『井筒』『江口』『檜垣』『砧（きぬた）』『老松』『頼政』『恋重荷』『野守（のもり）』『西行桜』など５０番以上ある。そしてこれらがすべて傑作揃いというからスゴイ！「能を舞うだけでは能を究められない、作ってこそ奥義に到達できる」と考えた世阿弥は、歌舞と幽玄の魅力を最大限に引き出せる理想的な作品を自分の手で作った。そして大半の曲が６５０年前に完成した当時と同じ詞章（ししょう、脚本）で演じられている。和歌を詠むように響く言葉、心に染み入るメロディーの楽曲は、時代を超えて人々の胸を打つ詩劇になっている。

目前，能乐的演出剧目总计达240个。其中确认为世阿弥作品的有《高砂》、《忠度》、《实盛》、《井筒》、《江口》、《檜垣》、《砧》、《老松》、《赖政》、《西行樱》等50多部剧。且皆为能的杰作。世阿弥认为，“仅是能乐舞蹈并不能究其深意，创作才能探求到能的奥妙。”他亲自创作能尽可能地展现歌舞和幽玄魅力的作品。历经650年，大部分作品仍保留着与当时相同的唱词来上演。这些如吟唱和歌般婉转的台词、感人肺腑的旋律，超越了时代，成为打动人心的诗剧。

声明：本双语文章的中文翻译系沪江日语原创内容，转载请注明出处。中文翻译仅代表译者个人观点，仅供参考。如有不妥之处，欢迎指正。